第7話

【第六章】別れの前夜。
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2025/11/04 21:00 更新
宿の部屋の明かりは、ほのかに灯っていた。
窓の外では、港町の灯りが揺れている。
来栖 咲季
「……未來」
七瀬 未來
「ん?なに?」
来栖 咲季
「ボク、言いたいことがあるんだ」
でも、声はそこで止まる。
――言ったら、全部が変わってしまう気がして。
未來は布団に横たわり、静かにボクを見ている。
来栖 咲季
「……ごめん、やっぱり、なんでもない」
七瀬 未來
「……そっか。」
その視線に、ボクは胸がぎゅっと締めつけられる。
声に出せなくても、未來は分かってくれている。
だから、安心でもあり、苦しくもある。
>心の奥の影。
ボクは小さく息を吐く。
心の奥ではまだ、影が揺れている。
――しにたい。でも、勇気はない。
だから「また今度」と、そっと呟く。
未來の寝顔を見つめながら、ボクは手を握る。
その温もりが、今は何よりの支えになる。
来栖 咲季
「……ボク、明日も一緒にいられるかな」
七瀬 未來
「うん。最後の時間まで、わたしがそばにいる」
波の音が遠くで響き、扇風機の音が部屋を満たす。
夏の夜は、静かに二人を包み込んでいた。
To be continued……

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