第15話

14話 月明かり
7
2024/06/09 03:35
ギル
ギル
あれから時間が経って、俺は一人夜空を眺めていた
俺にかかった罪
それは、転生を繰り返すことだった
俺は、まるで不老不死だ
ただ、俺のこれは不老不死なんかよりも何倍も恐ろしいものだ
不老不死ならばフジがいたが、あいつは同じ永遠に生きれるハクが隣にいることで、少しずつだが口数が増えた
それに対して俺はどうだ?
俺以外の誰が、俺の転生について来れるんだ?
一回だけ、能力で無理矢理引っ張ってきたことがある
ただ、そいつに言った「罪を擦りたければ転生は終わる」は真っ赤な嘘だ
あいつの場合、自分自身や能力の存在を消した
つまり、罰する能力の対象がいなくなる
そしてあいつを引っ張ってきた時、あいつに幸せになって欲しいから、あんな嘘をついてまで俺は死んだ
ただ…
ギル
ギル
…やっぱ、普通に死にたいよなぁ
過去に何回も自殺したことがある
たが、転生をするだけで無意味だった
こんな俺が死ねる方法
それは…
???
…こんなとこで何してんだ?
突然、そんな聞き慣れた声が響いた
ギル
ギル
はぁ…お前は暇人か何かか?ディル
ディル・ゲイム
ディル・ゲイム
まあそれに近いな、俺は俺がやりたいこと以外はやりたくないからな
こいつ…今までに会ったことないようなやばいやつだろ
ディル・ゲイム
ディル・ゲイム
それで…なんか変なこと呟いてたがどうした?
ギル
ギル
…少し、考え事しててな
ディル・ゲイム
ディル・ゲイム
死についてか?
俺は無言を返した
ディル・ゲイム
ディル・ゲイム
…そんな、どうでもいい未来を考えてもつまんねぇぞ?
ギル
ギル
…そうか
ディル・ゲイム
ディル・ゲイム
…ま、俺は立ち去るとするか
そう言って、ディルは立ち上がった
ディル・ゲイム
ディル・ゲイム
…じゃあな、その目がどうなってんのか気になるが、やめとくよ
ディルは、踵を返すとそのまま歩き出した
ギル
ギル
…はぁ
俺の能力ですら、操れない概念
一度、死を操る能力者と会った
ただ、俺の転生を止めることはできなかった
能力の無効化でも、罰する能力は無効化されなかった
多分だが、一回目の転生で能力からそういう概念となった
…にしても
ギル
ギル
つまらない未来、か…
俺から見たら輝かしい未来
虚が、映し出してくれない未来
今、俺の両目は見えていないに等しい
実の目と、虚の目
二つを照らし合わせればなんとなくは今が見える
虚は、未来を映す
ギル
ギル
…俺の虚は、いつになったらそれを映し出してくれるんだろうな
俺は、その手を月に合わせた
月は、太陽の光を反射して、輝いている
つまり、誰かの恩恵で目立っているだけだ
言ってしまえば、紛い物
そんな、紛い物の光でも
ギル
ギル
…俺には、眩しすぎるな
今の俺は、本来の俺と言えるのか
いや、違うだろう
俺自身、これは本来の俺じゃないことぐらいわかってる
それでも
それでも
それでも
ギル
ギル
…いつかは、笑っていたいな

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