あれから時間が経って、俺は一人夜空を眺めていた
俺にかかった罪
それは、転生を繰り返すことだった
俺は、まるで不老不死だ
ただ、俺のこれは不老不死なんかよりも何倍も恐ろしいものだ
不老不死ならばフジがいたが、あいつは同じ永遠に生きれるハクが隣にいることで、少しずつだが口数が増えた
それに対して俺はどうだ?
俺以外の誰が、俺の転生について来れるんだ?
一回だけ、能力で無理矢理引っ張ってきたことがある
ただ、そいつに言った「罪を擦りたければ転生は終わる」は真っ赤な嘘だ
あいつの場合、自分自身や能力の存在を消した
つまり、罰する能力の対象がいなくなる
そしてあいつを引っ張ってきた時、あいつに幸せになって欲しいから、あんな嘘をついてまで俺は死んだ
ただ…
過去に何回も自殺したことがある
たが、転生をするだけで無意味だった
こんな俺が死ねる方法
それは…
突然、そんな聞き慣れた声が響いた
こいつ…今までに会ったことないようなやばいやつだろ
俺は無言を返した
そう言って、ディルは立ち上がった
ディルは、踵を返すとそのまま歩き出した
死
俺の能力ですら、操れない概念
一度、死を操る能力者と会った
ただ、俺の転生を止めることはできなかった
能力の無効化でも、罰する能力は無効化されなかった
多分だが、一回目の転生で能力からそういう概念となった
…にしても
俺から見たら輝かしい未来
虚が、映し出してくれない未来
今、俺の両目は見えていないに等しい
実の目と、虚の目
二つを照らし合わせればなんとなくは今が見える
虚は、未来を映す
俺は、その手を月に合わせた
月は、太陽の光を反射して、輝いている
つまり、誰かの恩恵で目立っているだけだ
言ってしまえば、紛い物
そんな、紛い物の光でも
今の俺は、本来の俺と言えるのか
いや、違うだろう
俺自身、これは本来の俺じゃないことぐらいわかってる
それでも
それでも
それでも
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。