拝啓。これを見ている神様へ
何故、私は美少女と一緒に帰る事になったのでしょうか
横を見ると同じ制服な筈なのに誰よりも似合っている少女が自分と歩幅を合わせて歩いていた
逃げたいような…もう少し一緒に居たいような…そんな感じがする
すると、私に振り返り話しかけてきた
相変わらず、可愛らしい声だった
何故、私の名前を知っているのだろうか
思い返して見ても私の名前を知る機会なんてない筈だ
朝会等で皆の前で話すなんて事も無い
それどころか、文化祭でさえ裏方に回っていた
なのに、目の前に居る黒月さんは私の事を知っている
その事実により、頭がこんがらがってきた
すると、黒月さんはクスクスと楽しそうに笑っていたのに気付く
なんだ…良かった
私は目立っているだけではなかった
ただただ黒月さんに教科書の名前が見えただけだったと気づき安堵の溜め息をつく
……でも、変わらないのではないだろうか?
私と黒月さんが2人で帰っているのを見ると友達のようだ
これを誰かに見られたらどうしようという焦りが出てくる
早く終わってほしいという気持ちともっと話してみたいという相反した気持ちに襲われる
校舎から出ると自分と反対の方に黒月さんの体が向く
「また明日」…?
それはどういう事かと聞こうとしたが、気にせずにスタスタと歩いていってしまった
もしかしたら意外にもマイペースな人なのかもしれない
ぼーっと立ち去った黒月さんを見ていたが我に返る
早く帰らなきゃお父さんに心配される!
そうして、私は走って家に帰った
急いで帰ってきたが、ギリギリ間に合った
私の家はお母さんが居ない
物心つく前に死んでしまったらしい
お父さんは男手一筋で私をここまで養ってくれた
そう言って貰えると凄く嬉しい
これからもお父さんの助けになりたい
制服を脱ぐと意外にベタベタしていることに気付いた
じゃなきゃ、気になって宿題が進まない気がする
ただでさえ、図書室での勉強だってうまく進むことは出来なかった
だから、家でも頑張らなくてはならない
また、お父さんを腹ペコのまま待たせたくなかった
その為にさっさと入ってしまおうと大急ぎでお風呂の準備をした















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。