第32話

そう言えばしてなかったね、自己紹介...
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2024/04/26 08:51
気づけば、部屋には私独りになっていた。
健三
健三
ぁ、ぁぁあッ......
まどかさんが....相手の手中に堕ちた。
健三
健三
...............ッ
誠一くんは、まどかさんに能力を使っていたのは分かった。多分、現状を理解できないようにしたはず...
これまでの会話、目撃したこと、体験したことからすると、誠一くんはマインドコントロール、しかも発動するのに条件付きの能力を手にしている。
その条件とは、相手の目を見る。または目が合う事だ。
恐らく、誠一くんの瞳になにか秘密があるはず......
白井
白井
おっと、健三?
なーに考えてるのかなぁ...?
健三
健三
........!?
しまった、ここにも能力者が......ッ
白井
白井
仕組みに気づいたとしてもキミは普段の生活にはもう戻れないよ
健三
健三
何故ですか
白井
白井
え、なんでって...
間の抜けた返答で私に油断させる気なのは分かりきっている。
白井
白井
だって考えてみてよ、誠一もまどかももうこっちのモノだし。スワロウテイルの3分の2が俺らのモノなんだよ?1人でどうやって活動するの?
健三
健三
それは...
確かに、記録者1人で活動することはできない。
でも、助けを求めれば誰かが助けに来てくれるはず。
白井
白井
でも、誰が?
よく言うじゃん。誰かじゃダメだって。
具体的に言わなきゃね
........もっと他ハウスと交流しておくべきでした...
白井
白井
だから狙ったんだけどなぁ.....
ドアが開いた音がした。
『やあ、健三』
その声は、崇拝するほどの美声で、いつものまどかさんに変わりは無いのに...
マド
マド
健三もこっちにおいでよ
口角をニイとあげたまどかさんは、未だかつて見たことがなかった。
オマケパート𝚂𝚃𝙰𝚁𝚃
自己紹介おねがい
白井
白井
あ、うん、自己紹介から?
白井
白井
俺、白井って言うの
フルネームは?
白井
白井
あ、フルネーム?
そういや、言ってなかったね
白井
白井
 白井  茜しらい あかね
黒川
黒川
誰に話してるのー?
白井
白井
いいところに!
ほら、くろも自己紹介してよ
黒川
黒川
誰に何を言えばいいの
白井
白井
スマホの向こうで俺らの行動を監視してる奴
黒川
黒川
うわぁ、メタい
それも監視してる奴て...情報漏洩じゃね?
2人の好感度上げよう作戦だからね
白井
白井
いやいや、ちょっとでも俺らの好感度をあげよう作戦だ、と作者も言ってるよ
黒川
黒川
もう、触れないことにする
白井
白井
自己紹介して
黒川
黒川
 黒川  碧くろかわ あおです
白井
白井
てかさ、自己紹介聞いて毎回思うんだけど、
黒なん?白なん?青なん?
黒川
黒川
そっちこそ!白と黒と赤じゃん!
白井
白井
うへへ
カラフルだねー
黒川
黒川
...まあね
てかさ、2人の関係性は何なの
白井
白井
大学の同期
黒川
黒川
いや、違うでしょ、最終履歴(?)は大学の同期だけど、小さい時から幼なじみでしょ
白井
白井
うん、そう。そんな感じ
へぇー、好きな食べ物は?
黒川
黒川
僕オムライスー!
白井
白井
うーーん、特にない
そこをなんとか!
白井
白井
ぇえ?
.................チョコレート
黒川
黒川
ぷぷっ、かわいー!
白井
白井
おい、ギャップ萌えって何だよッ
あ、そっか心が読めるのか...
白井
白井
じゃ、作者の心読むわ
白井
白井
.........こんなの書いて需要あるかな、だって?ふん、そんなの知らねえよ、キミが勝手に書いてんだろ?
まあね
白井
白井
もう付き合わないからな
あっ、ちょっと...!
黒川
黒川
あ、じゃあ僕も行かなきゃ!ばいばいー
あ、今暇?
黒川
黒川
え、まだいたの?
うん!そう、ヨーマちゃんについて聞きたくてね
黒川
黒川
本人に聞けばいいじゃん
でも、白井に聞いたらヨーマには数日会えないって
黒川
黒川
あー、メンテか...
ん?
黒川
黒川
あ、いや、なんでもない
名前は...ってヨーマちゃんか
黒川
黒川
黒川  陽舞くろかわ ようまだよー
年齢は...?
黒川
黒川
ええーっと...20だった、ような
好きな食べ物は?
黒川
黒川
いちご
可愛いね...
黒川
黒川
あ、分かる!?
もうヨーマってばちっちゃい頃からケーキ食べる時はいちごから食べてね、最後に物欲しそうに僕を見るからいっつもケーキの上のいちごが食べれなかったの..
黒川の自室
黒川
黒川
陽舞、生きてたらもう20かぁ
陽舞は16の頃からネストの記録者だった。
本人曰く、困ってる人を助けたいから入ったらし
い。

僕も心配だから、入ろうとしたことがある。
でも、僕向けではなかったみたいだ...
この時、初めて陽舞の凄さがわかった気がする。

僕も陰ながら陽舞を応援するために異能を研究して一般の人でも使えるようにするという技術を白井と開発していた。
1回目の試作ができた頃だった。
ネストから連絡が来たのは...



突然の訃報、18歳。あまりにも早すぎる。僕は陽舞の死が受け入れられなかった。
逆上した犯人にグサッ...らしい
つい前までレコードが上がった。とか、うちの名探偵がかっこいいんだよ〜!とか、楽しそうにいっぱい話を話していたのに...ッ
そいつらは、陽舞を見殺しにした。
陽舞が居ない人生なんて、考えられない、
こうなるんなら、いっその事、そのきっかけを作ったネストを無くしてしまえばいい
なんだ、簡単じゃん...
白井は、陽舞が死んでから1年経ったある日、最先端技術を用いて陽舞を蘇らせた。
でも、あんなの陽舞じゃない。
黒川
黒川
ごめんねぇ、陽舞...
僕、馬鹿だからこんな.....
....犯罪者に、なっちゃった...
そう言っても、写真立ての向こうの陽舞は柔らかく微笑んだままだった。

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