♡
大佛
切ない
護衛任務
百合要素あり
告白未満
低く落ちたその声に、路地の空気が一瞬で張り詰めた。
──私を庇うように前に立った大佛ちゃんの背中が、やけに近い。
銃を構えた男が、鼻で笑う。
その言葉に、私の肩が小さく揺れた。
事の発端は、数日前。
私が偶然拾ったデータチップ、それは、裏社会で取引されていた重要人物の情報だった。
知らずに触れてしまったせいで、私は“始末対象”になってしまった。
だから今、
私は護衛対象として、大佛ちゃんと二人きりで逃げている。
大佛ちゃんとは会ってすぐ食べ物の話で意気投合し、今ではものすごく仲良しだ。
大佛ちゃんは口数は少ないけれど優しくて、可愛らしくて、とてもいい子だった。
低く、静かな声。
振り返らない。
でもその一言には、拒否を許さない確かさがあった。
大佛のチェンソーの音が鳴り響く
一瞬で距離を詰め、自分より何倍も大きい男を無力化する動きは、あまりにも静かで、冷静で、綺麗だった。
数秒後
短くそう言って、ようやくこちらを見る。
それだけ。
でも、その後すぐに私の手首を掴んだ。
そのまま、細い路地を抜けていく。
離そうとして、止まる。
内心の重さとは裏腹に、声は相変わらず淡々としていた。
視線を伏せて、ぽつり。
その言葉だけが、妙に重く落ちた。
被せるように
その断定が、胸に刺さる。
しばらく歩いた先で、安全圏に入った。
それでも大佛は、手を離さない。
その“念のため”が、どこか必死に聞こえた。
沈黙。
いつもより、長い。
また、間
その問いに、大佛の指が僅かに強くなる。
低く静かに。
少しだけ、目を伏せる。
冗談みたいなのに、声は真剣だった。
淡々とした声で、静かに、重く。
一拍置いて
それは命令でも、告白でもない。
でも、大佛なりの、精一杯の感情だった。
しばらくして、無線に「追撃なし」の連絡が入った。
それを聞いても、大佛はすぐには動かなかった。
そう言いながらも、私の手首を掴む指は離れない。
追撃が完全に途切れ、神々廻と合流した。
その一言で、全部が終わった。
────楽しかった。
短い日々だったけど、確かに大佛ちゃんと一緒にいた。
あなたが背を向け歩き出した数秒後、神々廻が小さく言う。
即答。でも声が揺れた。
その場を離れた後、誰にも見えないところで。
大佛は、静かに泣いた。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。