第7話

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2025/12/27 14:37 更新



大佛

切ない

護衛任務

百合要素あり

告白未満
大佛
近づかないで
低く落ちたその声に、路地の空気が一瞬で張り詰めた。

──私を庇うように前に立った大佛ちゃんの背中が、やけに近い。
大佛
……ここから先は、通させない
銃を構えた男が、鼻で笑う。
mob(男)
お前一人で?笑そいつが“例の女”だろ
その言葉に、私の肩が小さく揺れた。
事の発端は、数日前。

私が偶然拾ったデータチップ、それは、裏社会で取引されていた重要人物の情報だった。

知らずに触れてしまったせいで、私は“始末対象”になってしまった。
だから今、
私は護衛対象として、大佛ちゃんと二人きりで逃げている。

大佛ちゃんとは会ってすぐ食べ物の話で意気投合し、今ではものすごく仲良しだ。

大佛ちゃんは口数は少ないけれど優しくて、可愛らしくて、とてもいい子だった。
大佛
……下がって
低く、静かな声。
あなた
大佛ちゃん、でも──
大佛
……後ろ
振り返らない。

でもその一言には、拒否を許さない確かさがあった。
大佛
(あなたちゃんが殺すのも殺されるのも嫌…)
大佛
(だから…私が絶対に、守る)
大佛のチェンソーの音が鳴り響く


一瞬で距離を詰め、自分より何倍も大きい男を無力化する動きは、あまりにも静かで、冷静で、綺麗だった。



数秒後
大佛
終わった…
短くそう言って、ようやくこちらを見る。
大佛
怪我…ない?
あなた
うん、平気だよ
大佛
…そう。
それだけ。

でも、その後すぐに私の手首を掴んだ。
大佛
動かないで…
あなた
え?
大佛
……まだ、追手が来る可能性…あるから、
そのまま、細い路地を抜けていく。
あなた
大佛ちゃん、さっきから……手
大佛
あ…
離そうとして、止まる。
大佛
……このまま
あなた
どうして?
大佛
……離すと、見失う
大佛
(見失う。それだけじゃない。あなたが、消えるのが……どうしようもなく、怖い…)
内心の重さとは裏腹に、声は相変わらず淡々としていた。
大佛
…あなたちゃん、、さっき……撃たれそうになった
あなた
でも避けたよ?
大佛
結果論…
視線を伏せて、ぽつり。
大佛
私が、間に合わなかったら……死んでた
その言葉だけが、妙に重く落ちた。
あなた
大佛ちゃん、
大佛
……あなたちゃんは、悪くない
あなた
でも私がチップ拾ったから───
大佛
……それでも
被せるように
大佛
あなたちゃんが、死ぬ理由にはならない
その断定が、胸に刺さる。

しばらく歩いた先で、安全圏に入った。
それでも大佛は、手を離さない。
大佛
……ここなら、一旦……大丈夫
あなた
じゃあ、
大佛
もう少し…
あなた
え?
大佛
…念のため
その“念のため”が、どこか必死に聞こえた。
あなた
ねえ、大佛ちゃん。
 私が狙われてるの……迷惑じゃない?
沈黙。


いつもより、長い。
大佛
……迷惑、じゃない
あなた
本当?
大佛
…むしろ
また、間
大佛
……私が、守れる立場で……よかった
大佛
(守れる。 繋ぎ止められる。あなたちゃんが、私の手の届く場所にいる)
あなた
……私、護衛が終わったら……どうなるの?
その問いに、大佛の指が僅かに強くなる。
大佛
……分からない
あなた
そっか
大佛
…だから
低く静かに。
大佛
……今は、離れないで
あなた
それって、任務として?
少しだけ、目を伏せる。
大佛
……任務、でも……ある
あなた
でも?
大佛
……それだけじゃ、ない
大佛
(それ以上は…言わない。
    ううん、言えない、んだ…。)
大佛
(言ったら、あなたちゃんを縛ることになっちゃう。言わなくても、もう……縛ってるのかな…。)
大佛
……私の後ろにいれば、いい。
あなた
ずっと?
大佛
……少なくとも……私が、生きてる間は
冗談みたいなのに、声は真剣だった。
大佛
……あなたちゃんが、いなくなるのは……耐えられないから…
淡々とした声で、静かに、重く。
大佛
……だから
一拍置いて
大佛
勝手に死なないで
それは命令でも、告白でもない。

でも、大佛なりの、精一杯の感情だった。
しばらくして、無線に「追撃なし」の連絡が入った。

それを聞いても、大佛はすぐには動かなかった。
大佛
…もう、平気……
そう言いながらも、私の手首を掴む指は離れない。
大佛
帰還する…
あなた
わかった
追撃が完全に途切れ、神々廻と合流した。
大佛
……任務、終了
その一言で、全部が終わった。







────楽しかった。

短い日々だったけど、確かに大佛ちゃんと一緒にいた。
あなた
さよなら。ありがとうございました。
あなたが背を向け歩き出した数秒後、神々廻が小さく言う。
神々廻
お前……もしかして、
    あの子のこと────
大佛
…違う…
即答。でも声が揺れた。
大佛
ただ、守れなく…なった……だけ、
神々廻
…飯奢ったるわ
大佛
ありがとう…ござい、ます




























その場を離れた後、誰にも見えないところで。

大佛は、静かに泣いた。

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