叶side
「…俳優ですか。」
俺は驚いて目を見開いた後、そう何かを噛み締めるように呟く。
空良さんの売れるという言葉を聞いて俺ははっとする。
今まで何をしたいか分からなかった自分がいた。だから自分探しという名の自分を見つけるためにたくさんの事をした。
だけど、全部うまくいかなった。スポーツ?楽曲制作?勉強?全然だめ。
だけど、売れれば自分を認めることができるのかな、なんて。
それからの流れは早かった。空良さんがどこかに電話したかと思うと俺は空良さんに乗ってと言われ、一緒に高そうな車に乗り込む。
車内では執事のような運転手とプロの俳優の空良さんと場違いすぎる一般人の俺が乗っていて異様な空気が漂っていた。
俺はどこに行くかも分からなかっため、緊張と不安で聞くこともできずにいた。
目的地に着くと、そこにはでかい高級マンションが建っていた。
俺は微笑みながら手を伸ばしてエスコートをしようとする空良さんに軽く首を振り、緊張しながらも高級車を降り、空良さんの後ろをついていくようにマンションに入っていく。
空良さんの後ろをついていきながら、辺りを見渡すとそこには有名な俳優のポスターや映画が貼っており、建物内にはオフィスやレッスン室があった。
まさかここって事務所じゃ…なんていう思考が頭を駆け巡る。
奥に進んでいくと他の部屋とは一味違うガラス張りの部屋があった。
空良さんはノックをした後、「社長、入ってもいいですか」と言う。
そうすると中から「どうぞ」という声が聞こえてきたので空良さんがドアを開け、中に入る。軽くお辞儀をした後、それについていくように俺も中に入る。
空良さんも言っていた「売れそう」という言葉。社長と呼ばれる人も言っているけど、俺のどこにそんな雰囲気があるのだろうか。
確かに俳優を甘く見てはいけない、そういうのはよく聞く。社長さんはきっとこれでも甘くしてくれている方なんだろう。
…でも、きっとここを逃してはまた自分探しの振り出しに戻ってしまう。そう思った俺は決心をする。参加をすると、
遥という名前の社長さんと軽く予定合わせや打ち合わせをした後、俺は社長室を出て、オーディションの準備をするために、事務所を後にしたのだった___
to be contenued___












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。