第58話

【短編:ご都合空間】 と最後に語り
38
2024/09/08 00:19
ウェイ系海視点
「「...は?」」
なにこれ目の前にオレいるんだけどウケる
「ど、どういうこと...?」

「ドッペルゲンガーとかなん?」
「ドッペルゲンガーって怪異でしょ。そんなのいる訳ないじゃん」

「夢ねぇなお前」
目の前にいるソイツは、オレとほとんど同じ見た目
違うところと言ったら、服装。オレは学ランだけど、目の前のやつはなんかオーバーサイズのパーカー来てる。あと星のサングラスがあるかないか、そして性格だな
オレはポケットからスマホを取り出して、ソイツとツーショットする
生徒会のグルラに送ろ〜。
「目の前にドッペルゲンガーいて草」
送信〜♪
「単純に何かのトリップによる影響...?それともパラレルワールドやシミュレーション仮説...?興味深いな」
目の前のソイツは顎に手を当ててなんかブツブツと言っている
「単刀直入に聞く。君は誰なの?もしもシーカーか何かでみんなに手出しするなら、容赦しないよ」
えっなんか物騒
「は?意味わからんし。オレだって知りたいし。そもそもここどこよ」
見回す限り白。上下左右全部白。何も無い空間
「オレは学校終わりに疲れた〜ってベットにダイブして気づいたらここに。お前は?」
「シーカーとの戦闘中に気絶。気付いたらここ」
「それ死んでね?」
「死んでない。オレが死んだとしたら君も死んでることになる」
あ、ほんとだ
「というか戦闘って何?学校にテロリストでも来たん?あっでもシーカーっつってたか。シーカーと戦闘?何があったんだよ」
「なるほど。やっぱりパラレルワールドか明晰夢の確率が高いな。」
「じゃあお前は別の世界のオレと考えていいんだな?」
「いいよ。とりあえず色々知りたい」
このオレ本当にオレ?何があったんだよ向こうの世界のオレ
「学園って言ってたね。そっちの世界では学園なの?誰か仲良い人の名前言ってみて」
「えぇ?うーん。アンドレとかシーリャとか、空とか風とか!あっあとフェスタも案外仲良いかも。というか生徒会メンバーは全員仲良いわ」
「アンドレさんにシーリャさん...。空に風さんと...フェスタ?誰だろう。生徒会メンバーか...ランカー達と考えて良さそうだね。ちなみにカーリア姉さんは?」
「はっ?何お前の世界ではカーリア先生家族なの?ウケる」
「家族っていうか血族だけど...。そっちでは先生やってるのか。うん。想像つく」
「そっちの世界ではそいつらどうなってんの?」
「こっちでは警察やってるよ。命懸けでね」
「えっ物騒」
「....!!!1番重要なこと聞き忘れてた!」
目の前のオレ...以下は真面目オレと呼ぶことにしよう。真面目オレはオレの肩をがっしり掴む
「陸!陸はいる!?元気に暮らしてる!?」
「おうおう急にどうした?普通にオレの妹として生きてるよ。丁度昨日誕生日パーティもやったところだ」
「大きな怪我や病気はない?幸せに暮らせてる?学校での様子はどう?」
「全部心配ねぇよ。寧ろ元気すぎて不安になる」
「......よかった...!!!陸が平和に、幸せに暮らせてる世界があるんだね...!それだけでだいぶ救われたよ」
肩から手を離そうとする真面目オレの手をガッチリ掴む
「おい....それ、どういう事だよ。お前の世界では、陸が幸せに生きてないって事か?そういうのは冗談でもやめろ。正直に言え。お前の世界で陸はどうなってるんだよ...!!」
オレはかけていたサングラス外した
「...いないよ」
「...は?」
「もうオレの世界には居ない。オレは陸に会えない」
今度はオレが真面目オレの肩を思いっきり掴む
「どういう事だよ...!!!?そっちの世界でも陸はオレの妹なんだろ!!?なんで...っ!!何してたんだよ!!何で守ってやらなかったんだよ...!!!」
「オレだって守りたかった!!!!」
初めて聞いた真面目オレの大声に驚いて、肩を掴む手の力を緩める
「オレだって守りたかったよ...!そっちのオレみたいに誕生日パーティとかして、みんなで幸せに生きていたらどれほどいいかってずっと思ってた!」
「だけど陸は帰ってこない。あの日陸は、オレを敵から庇って死んだんだ!!いつも頭の半分が陸の事を考えてる。陸が死んだ日の悪夢だってよく見る。あの時ああしてればってifをずっと妄想してる...!!」
真面目オレは涙を流してた
「そう...だよな...悪い。」
陸が居なくなったから、真面目オレは真面目になったのか...?
オレも、目の前でオレを庇ったせいで陸が死んだら、今のテンションを続けられるか...?
不可能だよな
「オレは陸を殺したやつのことを許しはしない。!そうだ、そっちの世界でも陸を殺したやつもいるんじゃないかな。名前だけでも...。いや、やっぱりこれはオレだけで調べる。オレの責任だ。オレがやらなくちゃいけない」

「...別に復讐をするもしないもお前の自由だけどさ。そっちの世界で死んだ大切なやつは陸だけか?」

真面目オレは頷いた

「なら、他の奴らに迷惑かけるなよ」

「!」

「確かにオレにとって1番大切な人は陸だ。復讐したいのもよく分かる。だけど、お前には大切な人がまだいるだろ。そっちの世界での、警察メンバー?こっちでは生徒会メンバー。そいつらに迷惑かけるな」
「...」
「忘れろとまでは言わないけどよ、陸が死んだのはお前のせいじゃないから。そこまで思い詰めんのもよくねぇぞ?」
「....そうだね...」
「これかけて落ち着けよ。そっちの世界でもオレみたいな性格の時あったんだろ?」
星のサングラスを真面目オレの目にかける
「あったけど....黒歴史...」
「えっ心外」
そこからはとにかくお互いの世界について話した
「えっ嘘そっちのオレ焦った時素数唱えるの?ただのやべぇやつじゃん」

「そっちこそ周囲の動揺を誘うために試験開始と同時に鉛筆へし折るってヤバいでしょ」
「というかなるほど。警察。だからこっちの世界のオレ達も戦闘能力高いのか?この前ウチワで生徒会室にいたハチを叩き斬ったアンドレもそういう事か」
「アンドレさんそんな事してるの...?」
「というか陸はどんな感じ?身長はどれくらい?テストの点数は?授業態度は?今何年生?」
「えっ何シスコンなの...?」

「は?違うんだけど」
「「あ゛ぁ〜。1回でいいからそっちの世界に行きたい...」」
「!?何言ってるの平和学園でのんびりしてるオレがこっちで生きていける訳ないでしょ。そもそも急に性格変わったらみんなを困惑させちゃう」

「オレだって基礎戦闘能力は高いわテロリスト撃退したオレ達なめんな!そっちこそ何言ってんだ急に授業態度良くなったらみんなびっくりするだろ」

「それは別にいいじゃん」
そこまで話した時、何故か本能的に「もう時間」だと分かった
「マジか...まだ話したかったわ...」

「オレも」
「じゃ、これ返して」と真面目オレの目からサングラスを取る。その代わり、制服の第二ボタンを渡した

「あんまり迷惑かけるなよ?」

「そっちこそ。黒歴史製造するのは程々にね」
グータッチをした後、もう一度ツーショットをした。

パシャ、という音と共に、オレの意識は途切れた
「...!..に!.ぃに!に、ぃ、に!!」
「うおっおはよう!?」
あれ...さっきの...やっぱり夢だったのか...
「おはようじゃなくて!!何この写真!?奥にいるにぃに誰!?大丈夫!?」
「えっ夢じゃなかったん!?」
「どゆこと!?」
「いや.....。なんでもねぇわ。ただめちゃくちゃ物騒な世界にいる真面目なオレと会っただけ」
「何そのにぃにちょっと会ってみたいかも」
「え酷ぉ。こっちのにぃには?」
「こっちのにぃにもいいけど違うにぃにも見てみたい」
「...あっそうだ陸!テロリストとか来ても絶対お前は戦っちゃダメだからな!?オレを庇うとかもっとダメだからな!!?」

「急にどうしたの」

「なんでもない!さっさと学校行くぞ!やべぇ第二ボタンがねぇ!」

「ちょっ待ってよ!この写真について詳しく!グルラ凄いことになってるから!」
通常海くん視点
「!!!みんな!!海起きた!!!」
「!大丈夫か?すっげぇうなされてたぞ」
「とりあえずフェンリラー様やセヴリーヌ様に連絡してきますわ」
見回すと、先程の真っ白な空間ではなく、見慣れた寮の中だった
「...あ、そっか...戦ってたんだ。大丈夫だった?」
「ちょっと海、あんたヤバかったんだからね!戦いの方は大丈夫だったけどさ。死ぬんじゃないかとヒヤヒヤしたよぉ。そういやうなされてたけど、なんかやな夢でも見てたの?」
「嫌では...無かったけど。」
やっぱりあれは明晰夢か...
そう思い、何故か握りしめていた手を開くと、手の中にはあの時貰った第二ボタンがあった
「何そのボタン!めっちゃ綺麗!ちょうだい!」
「駄目。オレの」
「なんだよケチ〜」
「それより早く仕事しないと。どれくらい休んでた?」
「1日くらいだけど、お前はまだ念の為休んでろ」
「無理。みんなの仕事が増えちゃう」
「この社畜め!!」
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あー。ご都合時空はやっぱり最&高
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この2人がお互いの世界に行った所見たいな...
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みんなどんな反応するんだろ
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学園の方は『海がサングラスつけてない...!?ただの完璧優等生じゃん...!!』ってなるかも
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逆に通常時空では『海がはっちゃけてる!?ウェイ系になってる!?働きすぎて壊れた!?』ってなるかもしれない
レミ☆(ぬし)
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逆に2人の反応は『陸がいる...!!というかやっぱり常にサングラスつけてたのか...はっちゃけ過ぎでしょ...というか生徒会は仕事少なくていいな...』『陸がいねぇ!すげぇみんな警察!!しごと多くね!!?やべぇこの世界!!』ってなってるかも
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とりあえず通常時空海くんは休め

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