バタン
探偵社の扉を閉めると同時に気配を消し、
ドア越しだが会話を盗み聞く
すると案の定
喧嘩したこと、気にしてるのか。
でも、今兄さんが言ったことは本心と思っていいのだろうか
ポートマフィアにいた頃から大分性格が変わった
おちゃらけているし、巫山戯る。
別人とも言える代わりように、私は置いて行かれている気がしてならない
兄さんは、今でも私のこと____
「とりあえずこれあげる〜」
と口に飴玉を突っ込まれた
(やっぱり味はしないか。溶けてるゴム飲んでるみたい)
(いやいや無理無理めちゃまず。甘いの無理っつったのに)
平静を装いながら探偵社を出る
その後は無意識に今は亡き知り合いの墓へと向かっていた
小さな丘の上に建てられた白い墓をぼーーっと眺めていた
風が何回も私の頬を掠め、先刻の探偵の台詞が響いている
からん
と、酒が入ったグラスを回す音がした














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!