雨だった。
朝からずっと、しとしと音がしている。
中庭でも遊べないせいで、Paletteの中はいつもより少し静かだった。
フィリックスたちはゲーム。
ヒョンジンは窓際で絵。
ミナはソファでうとうとしている。
そんな中。
キュジンだけが、今日はずっと静かだった。
でもキュジンは「なんでもない」しか言わない。
昼過ぎ。
ジヒョが声をかける。
みんなが荷物をまとめ始める。
でも、キュジンだけ動かなかった。
呼ばれても下を向いたまま。
小さな声だった。
部屋が少し静かになる。
バンチャンは、その空気を壊さないように近づいた。
即答。
でも、声が少し震えていた。
沈黙。
外の雨の音だけが聞こえる。
すると。
リュジンが、ぽつりと言った。
全員がリュジンの方を見る。
ぶっきらぼうに言う。
でもその声は、少し優しかった。
キュジンはギュッと袖を掴む。
ぽつり。
誰も口を挟まない。
Paletteでは、無理に聞き出さない。
話したい時だけ話せばいい。
チェリョンは、少し離れた場所からその光景を見ていた。
学校だったら。
「大丈夫?」
「元気出して!」
って、もっと慌ただしくなる気がした。
でもここは違う。
静かに隣にいる。
それだけ。
優しい声。
キュジンは、小さく頷いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夕方。
雨はまだ降っていた。
リビングでは、みんななんとなく一緒に過ごしている。
誰も無理に明るくしない。
でも。
空気はちゃんとあったかい。
突然、シャボン玉セットを差し出す。
即答。
でも少し笑っていた。
その空気に。
キュジンは、ようやく小さく笑った。
ほんの少しだけ。
でも確かに、いつもの顔に戻っていた。
その様子を見ながら、バンチャンは静かに息を吐く。
next→




















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。