第9話

11.恋物語
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2024/03/03 07:54
side.樹

俺は、メンバーの慎太郎と付き合ってる。
ずっと好きだったから、気持ちを思い切って伝えたら、慎太郎も同じ気持ちだったみたいで、俺達は、
晴れて付き合う事になった。


だけど、付き合って数ヶ月、目の前の光景を見ながら、不安は確信へと変わって行った。

(慎太郎)ほくとー

慎太郎は、嬉しそうに名前を呼ぶと北斗に抱きつく。
雑誌の撮影とはわかっていても、
俺とペアの時は、こんな風に抱きついてきたりしない。
付き合ってからも、触れるのは俺からで、
甘えたくて近くに座った時もさりげなく距離を取られる。初めは、照れてるのかと思っていたけど、
毎回その態度だった。
キスも俺から、もちろん最後までなんて無理な話だ。

メンバーには付き合ってること伝えたいと言ったら恥ずかしいからもう少し待ってほしいだった。

メンバーに知られるのすら嫌って、なんなんだよ。

きっと慎太郎は、同情で付き合ったんだろうな。

あー、解放してあげないと、ここ最近何度も思っては、それでも自分のエゴで離せないでいる。
そんな自分がほんと嫌いだ。

(北斗)慎太郎あったかいなー

2人は顔を近づけ笑い合う。

そんな楽しそうな2人を見て、
心がズシリと重くなった。

(大我)大丈夫?

俺と撮影待ちで、隣に座っていたきょもが
心配顔で話しかけてきた。

(樹)何が?

悟られたくない俺は、平静を装う。

(大我)しんどそうだったから、気のせいならいいんだけど…。



side.大我

(樹)全然!元気だよ

そう言って笑う樹。

嘘つき。
バレバレだよ。
他の人ならそれで誤魔化せただろうけど、
俺には通用しない。だって、ずっと樹を見てきたんだから…。

だから知ってる。
樹がずっと慎太郎を思っていた事も、
2人が付き合いだしたことも。

辛かったけど、樹が幸せならと諦めるつもりだったけど、悲しませるなら、もう我慢なんてしない。
樹は、俺がもらうから。
そう心に誓った。

その時、

(スタッフ)次、京本さんと田中さんお願いします。

スタッフが俺たちを呼んだ。

(大我)樹いこ!

手を引いて、カメラの前に2人で立つ。

(カメラマン)まずは、かっこいい感じで

その瞬間、樹の表情が変わる。

仕事のスイッチが入る瞬間を目の前で見て、
ぞくりとした。

どんな辛いことがあっても、スイッチが入った樹は、見惚れるほどかっこいい。

(カメラマン)2人ともいいね!
じゃあ次は、楽しそうな感じでお願いします!

(大我)樹!

俺は、名前を呼ぶとそのまま飛びつくように抱きついた。

(樹)わ!

樹は、突然の行動に驚いたけど、そのまま抱き止めて勢いを抑えるために、くるりと俺を抱きしめたまま回る。

(樹)きょもーあぶないよー

そう言って、笑顔でふざけながらクルクル回りだす。
久しぶりの樹の笑顔に、俺も自然と笑みが溢れる。

(カメラマン)次は、大我くん、ソファに座ってもらって、後ろから樹くんがハグしようかー

(大我)それ、逆じゃダメっすか?

それもいいねーとカメラマンさんも乗り気で同意してくれる。
樹は、え?って感じだけど、
無理矢理座らせて後ろから抱きしめる。

(カメラマン)オッケー、いい感じ!
妖艶な感じで行こうか!

後ろから樹を抱きしめ、慎太郎をチラッと見る。

これは俺からの宣戦布告。






誰と最後くっつけようか迷ったので

次から分岐になります。

ルートでメンカラのハート題名に入れてますので
お好きなルートをお選びください。

どのルートから読んでも、大丈夫です。

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