第41話

私じゃダメだから
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2023/05/06 05:00
あなたside



ついに大会の日がきてしまった






どれくらい努力したかが順位 結 果に現れるのが大会








あなた『ハァ……』




七瀬遙「緊張してるのか?」



荷造りをしながらはるが聞いてきた




あなた『そりゃもちろん緊張してるよ。けど……信じてるから、みんなを。頑張ってね』




はるは私をしっかり見つめてこう言った













七瀬遙「もちろん」







会場に着くとみんながいた





最初は私の勝手でリレーにエントリーしたのに、みんなはここまで連れてきてくれた





あなた『ありがとう、みんな ニコッ』




葉月渚「感謝するのは僕たちの方だよ!」



橘真琴「あなたが遅くまで俺たちのためにメニューを考えてくれたからここまで来れたんだ。ありがとう」




竜ヶ崎怜「先輩が丁寧に教えてくれたおかげでリレーに参加できてます。ありがとうございました。」




七瀬遙「昔から、あなたが居てくれたから頑張れた。あなたのおかげでまたリレーができてる。ありがとう、あなた」





みんな真っ直ぐに気持ちを伝えてくれる






あぁ、頑張って良かったな







私はみんなと一緒に泳げるわけじゃない





みんなと同じ舞台に立てるわけじゃない






いくら頑張ったってその頑張りが目に見える機会なんて少ないし、それを見ていてくれる人がいるとは限らない




でも私は周りに恵まれた







感謝させるようなことはしてないのに



まだやれることはあった



悔しいのに……………







どうしてだろう…









"行ってきます"








4人の背中は"必ず勝ってくる"という安心感があった











松岡江「じゃあ先行ってますね」



荷物を両手に抱えて江ちゃんがそう言って歩いていった



私も両手いっぱいの荷物を抱えて歩き出そうとした時だった











似鳥愛一郎「あなたさん!!」





何故か嫌な予感がした













あなた『凛!!』




私は愛一郎君の話を聞いて凛の元へ走った





やっと見つけた凜は、私の知ってる凛とは程遠かった








松岡凛「なんでお前が、










"リレーのメンバーから外された"





それがいかに辛いことかは知ってる




私だって経験したことがあるから




でも、、








あなた『凛、戻ろう? 凛はここに居るべ……』




松岡凛「お前に関係ないだろ!!""」






あの時と一緒だ


再会したあの日と







少しは近づいたと思ったんだけどな






ポロポロ



気づいたら目から涙がこぼれていた




なんで私が泣いてるの?





色んな感情が混じりあって何も言えなくなった私の腕をひいたのは、はるだった





七瀬遙「凛、」




事情を聞いて走ってきたんだろうな



息切れしてる



真琴も渚も怜も愛一郎くんもみんないる



七瀬遙「凛、戻ろう。俺はお前とい……」




松岡凛「うっせぇ!!"" もうどうなったって構わねぇ。所詮俺はこの程度なんだよ!!"" だからリレーも外された。もういい、辞めた"」




私の腕を握るはるの力が強くなった気がした








松岡凛「水泳なんて辞めてやるよ!!""」







あなた『待っ………




私の声は凛に届かず、凛は荷物を持ってそのまま会場を出ていった






はるは私の腕を握ったまま動かない




どうして?



あなた『どうして追いかけないの?』




はるを真っ直ぐ見つめて思いを伝える





あなた『勝負なんてどうだっていい。一緒に泳ぎたい人がいるんでしょ?』





七瀬遙「!!」






あなた『凛と一緒に泳ぎたいんじゃないの?!""』




私のその言葉を聞いてはるは凛を追いかけた





私じゃダメなんだよ




凛を取り戻せるのは、はるしかいないんだよ



__お願い、はる__





涙でぐちゃぐちゃになった私を真琴が抱きしめた







橘真琴「頑張ったね、あなた」




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