さとみを傷つけて一日経った。
これで、よかった。
これが、よかった。
すべて、計画どおり。
これが、正解だった。
でも、
やっぱ、すこし
罵倒して、陥れて、悲しませることが、守ること。
何がだよ。
壊してるだけなくせに。
さとみを、辛くしてるだけのくせに。
…でも、こうするしかないんだ。
早く、死のう。
そうしようか。
感情なんて、ほしくなかったな。
愛なんて、知りたくなかったな。
この病院の屋上は出入り可能なところだ。
そこにしよう。
ごめんなさい。
最後まで迷惑かけて。
けど、俺の我儘も聞いてください。
病気に負けて死ぬより、自分で死んだほうがいいんです。
そうすれば病院費も少しは安く済みますか?
今自殺してもそれは「病気に負けたくなかった」という理由になって、母が社会から責められない理由になりますか?
昔自殺していたら、母は社会から批判されていたでしょう。
今は自殺しても大丈夫な理由があるんです。
心臓辺りが苦しくなる。
血が送れなくなっている。
毎日のことだ。
背中もギシギシと痛んでいる。
もう、どの道死ぬということを教えられる。
遺書を送りたい。
自分の死は病気のせいだということの証明や、さとみへの感謝等。
…言葉にうまく表せない。
「俺は、俺であるために死んだだけです。
家族には幸せに過ごしてほしいです。
これ以上はもう望みません。
母さんは何も悪くありません。
最後まで尽くしてくれました。
俺の病気のせいです。
ずっと心配かけてごめんなさい。
沢山愛を教えてくれてありがとう。
健康に気をつけて、過ごしてください。
母さん一人でも生きていけます。
父さんには、よろしくと伝えてください。
ずっと見守っています。
伝えきれない感謝を、ありがとう。」
最後まで書いててバカだと思った、
書ける分だけ、社会に公表するものだけ書いた。
さとみ宛には何通か書いた、
俺は、早く屋上に、行こう。
階段をあがりながら言った。
こんなに愛されることは難しかったのかな。
人の幸せを優先しすぎて、
自分も幸せになりたかった。
自分はここにいた。
ドアに触れる手が異常に冷たかった。
2週間後投稿
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。