第19話

#18
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2020/07/04 21:00 更新

「失礼します。太田先生いますか?」


「お、月城。どうした?」


"月城"ってそんなによくある苗字じゃないよね?


思い出さないのかな、お姉ちゃんのこと。



よくそんな軽く"月城"なんて言えるよね。


「おい、どうした?」


「先生に話があります。ちょっと来てください。」


どこで話そう……


屋上は今閉まってるし……


あ、理科室なら誰もいないか。



「理科室?」

「先生なら入れるでしょ?」

「ま、まぁ……」



そう言って太田先生は鍵を開ける。


「で?話って?」


「お姉ちゃんのことについてです。」


そう言うと少し太田先生の表情が曇った。


やっぱり覚えてる。


「覚えていますよね?お姉ちゃん……月城來海のことを。」


「誰かなぁ。覚えてないね。」


嘘だ。

いつも太田先生は嘘をつく時、耳を触る。


多分それは自分でも自覚しているのだろう。


今、思わず耳を触ってしまいそうになった手を戻したのだから。



「本当は覚えてますよね?あなたの生徒ですよ?」


「そんなの覚えてるわけがないだろ!?俺はな、教師をずっとやってきてんだよ。何人もの生徒を見てきた。そんな12年前のことなんか……」


太田先生はしまった…という顔をしている。


12年前……やっぱり覚えてる。



「12年前。そうですよ、12年前です。覚えてるんじゃないですか。何人もの生徒を見てきた中でたった一人の自殺者、ですもんね。」


「な、なんでお前がそれを……」



なんでって……


でも、お姉ちゃんのことは言えない。



なんとなく言ったら悪い予感がする。


それに、何言ってんだって信じて貰えない。



「お姉ちゃんの遺言書に書いてあったんです。その件の真実もお姉ちゃんの気持ちも。」


「遺言書……」


まさか遺言書を残してるなんて思ってなかった?


まあ、実際残されてないけど。



「太田先生、本当にあれがお姉ちゃんがしたことだと思いますか?」


「……すまない。」



「本当にそう思ったんですか?」



すると、太田先生は奥の棚からあるものを取りだした。


茶封筒?


よく見るこの封筒を太田先生は私に渡して、教卓の椅子に座った。



「見てみろ。」



そう言われ、私は封筒にくるくる巻き付けてある糸をほどく。



中には……



写真?


何枚かの写真が入っていた。




何…これ……



その写真は全てを物語っていた。

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