私は欠伸をしながら歩き慣れた通学路を歩く。
そう、今日は高校の卒業式。
楽しいことも悲しいこともあった、まぁなんだかんだ言ってお世話になった高校だ。
ひとりごちながら、ゆっくりと通学路を歩く。
はた、と当たり前のことに気づいて立ち止まる。
今からでも遅くない、と思い辺りをキョロキョロと見渡しながら歩く。
女の子が横断歩道を渡っている。
…それだけなら別になんて事ないだろう。
その女の子に向かって爆速で走ってくるトラックの存在がなければ。
考えるよりも先に体が動き、女の子に向かって全力で駆けていく。
間一髪のところで女の子を突き飛ばすと、キキーッとブレーキを踏む音がすぐそこで聞こえた。
そんなことをぼんやり考えていると、耳が聞こえるようになってきた。
数々の悲鳴、ざわめき。
目も見えるようになってくると、周囲の状況がだんだん掴めてくる。
急に襲ってくるものすごい痛みと熱さに、思わず顔をしかめる。
ありえないほどの痛みに吐血すると、少しは息がしやすくなったとほっとした途端に、意識が薄れてきた。
私がもう諦めようかと思った瞬間、おねえちゃん!!と叫ぶ声がした。
ぽろぽろと涙を流すその少女は、私が助けた女の子だった。
もう喋るのもやっとだが、女の子を安心させようと頑張って口を開く。
弱々しく微笑みながら問いかけると、女の子は泣きながらこくりと頷いた。
泣きながら話す女の子に苦笑しながら、最後の力を振り絞って女の子に話しかけた。
女の子は躊躇いながら泣き腫らした顔で答えてくれた。
少し苦しそうに微笑むと、女の子…レイちゃんは、また泣きそうになる。
泣きながらこくりと頷いたレイちゃんにありがとう、と呟く。
その言葉に私は一瞬目を見開き、少し苦笑した。
もう意識を保つのもやっとだ。
泣きながら、しかししっかりと頷いたレイちゃんに微笑みかけると、そこで私の意識は暗転した。















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。