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第1話

半鬼の悩み
10
2023/09/24 10:17
序章

東京、渋谷
栄えたところから少し離れ、
人気のない裏小道に佇む小さい古民家。
そこには"契妖怪事務所"と看板が掛かっている
氷翠
氷翠
今日もお客はん来るとええな~
そこの中から出てきた
狐の耳、尻尾がついた少女は
くふくふと笑いながら店の敷居に
かかっている看板を"準備中"から
"いつでもお越しください"にひっくり返す。

そして古民家の中へ消えていったのだった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー❆
鬼天
鬼天
困ったの…妾も大変じゃ…
渋谷、スクランブル交差点を跨ぎながら呟く角の生えた少女は言う。

スキップしながら歩いてはいるもののその様子は結構困っている様であり表情を曇らせていた
鬼天
鬼天
妖怪など…この世の者が知っておるか、人界の者は全く役に立たぬ…!!
その上妖怪の話をするとあれよあれよと変質者扱いしおって!
…全く困ったものじゃ!………ってあれ…?
怒り心頭でずんずんと交差点を過ぎると見知らぬ裏小道に入ってきてしまったようで少々狼狽える少女。
鬼天
鬼天
…、迷子か…?この、この妾がが…?
俯きぷるぷると震える少女。
暫く震えるとようやく口が開いたと思うと発せられたのは
鬼天
鬼天
わ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
わ、妾知らない!こんな道知らぬ!
えーい!もうどうにでもなってしまえ!
絶叫。
そして少女はものすごいスピードで裏小道を駆け巡り、何かの看板にぶつかった。
鬼天
鬼天
は ゔ っ ッ~~ッた…
……何…?いつでもお越しください…?
店か…?
少女は古民家を見上げ
"契妖怪事務所"と書いてある看板を見るなり口角が上がりほくそ笑む。
鬼天
鬼天
なんじゃ、この世にも妖怪と繋がる人間がおったか!ふー…一安心…
では早速入らせてもらうぞ
安堵の表情を見せたあと少女はずかずかと店の敷居をまたぎ暖簾のれんを潜る。

すると中から
氷翠
氷翠
おいでやすー
と声が聴こえた。
声が聴こえたと思ったらいつの間に目の前にか銀から蒼に変わる髪を持つ少女が現れた。
氷翠
氷翠
お客様どすか?こちらへ来とぉくれやす
その少女はやけに京訛の言葉を話す。

そして言葉通りに少女は呼ばれた方に足を向け、明るくなった先には少し不気味な目ん玉がついた提灯、そして障子に筆で落書きされていたりチラシが張ってあり、座布団が3つ2つ置いてある部屋があった。
鬼天
鬼天
おぉ…妖怪について相談があるのじゃがよろしいか?
氷翠
氷翠
えぇもちろんどす。
どの様な案件でございまひょか
つり気味の目を細め笑う少女は
どこか不気味にも見えるが
頼れそうな感じがあった。
氷翠
氷翠
…ちゅうか、あんた妖怪でっしゃろか?ここ、角有られるけど
少女は細めていた目を元のとおりにし、首を傾げ向かいに座っている少女の角が生えているあたりの自分の額に手を当てに言う。
鬼天
鬼天
!貴様これが見えるのか!?
…やはり事務所をやっているだけあってただの人間ではないということか…?
氷翠
氷翠
いいえ、あんた半鬼どすなぁ?
そないなうちは半妖やさかい
少女はそう言うと頭から耳を生やし次に尾を生やした。
氷翠
氷翠
うち、氷翠と申します。
以後お見知り置きを。
そう言うと少女、氷翠は深く頭を下げる
鬼天
鬼天
妾は鬼天じゃ。
こちらもよろしく頼むぞ
互いに自己紹介を済ますとさて本題と言わんばかりに鬼天が話を持ちかけた。
鬼天
鬼天
此処最近、河童の連中共が鬼の里の水を堰き止めにかかって居てな、妾達鬼が困って居るのじゃ
氷翠
氷翠
河童の連中…鬼の里…
もしや妖界での出来事でっしゃろか?
思い当たる節があるのか氷翠が顎に手を当てながら言う。
鬼天
鬼天
いや、奥多摩の山奥に鬼の里があるんじゃ。そこの近くの川に河童が住んでいる
氷翠
氷翠
成る程…そら初耳どした。何せ
私妖界出身やさかい…
申し訳無さそうに笑う氷翠は
少しお待ちを、と言って障子チラシやら落書きがされている障子を開け
奥に入る。
氷翠
氷翠
最近河童と鬼のあいさでなんかおましたでっしゃろか?
鬼天
鬼天
あー…そうじゃな、鬼たちの
水の扱いが悪いと言われ
河童と紛争沙汰になりそうだった事がある。
氷翠
氷翠
それが原因ちゃいますか?
……さてそうと決まったらちゃっちゃと奥多摩にいきまひょ。
氷翠は奥から出てくる。
鬼天
鬼天
えっ…ちょっと急じゃない!?もう少し作戦練ったりとか
せんのか…?
氷翠
氷翠
作戦なんて練っとったらあっちゅうあいさに里の
水なんて止まりますえ!河童は手ぇ早いどすさかい…
氷翠はむりやり鬼天を立たせると
部屋から出て障子を閉める。
そして店の暖簾をくぐり店の看板を
準備中に切り替える。
鬼天
鬼天
だが、渋谷から奥多摩まで遠いぞ!?それこそ時間が…
氷翠
氷翠
平気どすえ、そんなん
そう氷翠は言い張ると手印を組む。
するとあたりが冷たい風に包まれ
まつげが少し凍る。
鬼天
鬼天
冷たっ…!?
氷翠
氷翠
もう少しで着くさかい少し辛抱。
それから2分ほどたつと風がやみ、気づくと奥多摩の見慣れた山奥が現れた。
鬼天
鬼天
!幻術か!?
氷翠
氷翠
いいえ、少し変換術を使わしてもろた。
先程此処におった鳥とうちらを入れ替えたの。
鬼天
鬼天
手慣れておるな…
氷翠
氷翠
最近は妖界でも案件増えたさかい、ちょいと
練習した限りどす。
氷翠は柔らかく微笑むと
鬼天に聞く。
氷翠
氷翠
鬼の里はどこにあるんどすか?
ここから近いことは解るんどすけど…
鬼天
鬼天
こっちじゃ!結構近いの!
鬼天はだっと氷翠の手を引き走る。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー🔥
暫くすると鬼の里が見えてくる。
よく見ると河童と鬼があーだこーだ揉めている。
鬼
なぜ水を止める!我たちが
困るでないか!
河童
河童
フン。若造共が。
貴様らが水を使い始めてから川が濁っとるんじゃ!分からんか阿呆が!
鬼
何を!?それを言うと
貴様らは毎夜毎夜どんちゃんとうるさい!宴などと抜かしおって!
鬼天
鬼天
…相当
氷翠
氷翠
エスカレートしてますなぁ…
二人は若干呆れ顔をする。
すると鬼天は、はぁ…とため息をつく
鬼天
鬼天
毎回毎回問題が起こるたびにこれじゃ…流石にもう大人たちには飽きれるの…
子供同士は仲がいいのに…
氷翠
氷翠
うーん…力で無理やり解決してもええどすけど
ほな根本的な解決にはならしまへんよね…
"力"というワードに少し引く鬼天であったがふと氷翠が「あっ」と声を上げる
氷翠
氷翠
鬼の子供達でと河童の
子供達で大人たちを説得
してみたらどないどすか?
鬼天
鬼天
えっ…?説得?
氷翠
氷翠
えぇ。鬼も河童も双方子
出来にくい。そないな種族
子供に弱ないはずあらへん
やろう?
目を細め笑う氷翠はさながら悪女だが、そこは置いといて確かにと鬼天は頷いた
鬼天
鬼天
そうじゃな、確かに大人の鬼が子鬼に怒る姿を見たことはない。
そう考えると早く子鬼と子供の河童を集めねば
そうして顔を見合わせる二人はまるで相棒のようだった



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー❆
氷翠
氷翠
はーい皆はんこっちどすえー
ずんずんと長い列を率いれ鬼と河童の前に割り込む。
河童
河童
!?何だ!この列は!
鬼
おい退くのだ!
我らが話せないではないか!
氷翠
氷翠
まぁまぁ。そう興奮せずに。
氷翠はにっこりと人好きのいい笑顔を浮かべ双方を見る。すると列が崩れ子鬼と子供の河童が飛び出てくる。
子鬼達
子鬼達
わぁー!父ちゃん達喧嘩すんなよー!
子供の河童達
子供の河童達
そうだよー!みぐるしー!
鬼
み…?
河童
河童
見苦しい…?
子鬼達
子鬼達
そうだぜー!宴がどーので喧嘩すんじゃねえよくだらねえな!
子供の河童達
子供の河童達
それに生活してれば水が汚れるなんて当たり前じゃん!そんなにいやなら川上に住めばいいのに!
鬼
く、くだらない…
河童
河童
当たり前…
大人達へのダメージは結構大きいようで開いた口が塞がらない大人達。そこへトドメと言わんばかりに子鬼子河童達が揃って
子供の河童達
子供の河童達
次喧嘩したら口聞かない!
子鬼達
子鬼達
からな!
という。それには敵わないようで大人達は顔を見合わせながら
鬼
……す、すまなかった、次は使い方を気をつけるさ
河童
河童
い、いやいいさこちらも宴を控えよう
鬼天
鬼天
……これが効くとは思わなかった!!!
氷翠
氷翠
それが効くんどすえぇ、何とね
氷翠は裾で口元を隠しながら
くすくすと笑う。
氷翠
氷翠
これで案件は終了でっしゃろか?
鬼天
鬼天
うん。終わりじゃ。
唯一願いがあってな…
氷翠
氷翠
何どすえ?
お願いがあるという鬼天に氷翠は首を傾げ聞く。
鬼天
鬼天
その…妾、仕事がなくてだな…
だから、その…事務所の仲間にしてくれぬか!
その言葉に氷翠は目を丸くして「えっ…」と呟く
氷翠
氷翠
そないな…大変どすえ?何しろ妖界での仕事もあるんやし…
鬼天
鬼天
そうでも良い!この事務所なら働けそうなんじゃ…頼む!
氷翠
氷翠
えぇ…まぁそこまで言うねやったら…
仕事も楽になりそうやし…
少し悩みつつも氷翠はそういう。
鬼天
鬼天
そうじゃろ!?なぁいいじゃろー!!
氷翠
氷翠
ただ、その話し方!
直してもらわな困る!
それとその角を隠す程度の幻術を
習得していただきますえ!
鬼天
鬼天
グッ…わ、かった、!
幻術も習得するよ!
氷翠
氷翠
なら一緒に来てもろうても構しまへん。
足手まといにならへんように踏んばってくださいね
鬼天
鬼天
わかったって!それと、敬語やめんか?少し寂しい…
氷翠
氷翠
ん゛ん。ふぅ…もっと早う言うてくれたら直しとったのに。まぁこれからよろしゅう!
鬼天
鬼天
応!これからよろしく!
二人は握手を交わし
事務所に戻るのだった









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こんちくわ!主です!
この度契妖怪事務所は荒っぽいを
読んでくださりありがとうございます!2日に一回は更新する予定なのでよろしくお願いします!

氷翠ばりばり京訛りですがよろしくお願いします~


アンケート

それとこれ長いかしら!? 普通だと思っとったんやが
いやいやいや普通やー
0%
なげぇよ!短くせぇ!
0%
みぢか!長くしろ!
0%
なんでもいいわァ…めんどくさっ
0%
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