第8話

POSSEDERE
59
2024/06/21 03:00
Mashumu
『ふわあ……今日はもう限界かも。僕そろそろ落ちるよ』
『ああ。おやすみMashumu』
ドルフィン
『それじゃ、僕も……って、そうだ。皆に言おうと思ってたことがあったんだ』
ドルフィン
『ねえーー"POSSEDERE"って知ってる?』
D
『POSSEDERE……?』
Mashumu
『その人、知ってる。1部で騒がれているよね』
『そうなのか?POSSEDEREとは一体……?』
Mashumu
『僕達みたいに曲を作って、投稿してるクリエイター。2週間ぐらい前に、まさに流星の如くって感じで現れて、投稿した曲全部、20万再生くらいいってるんだよ』
『全部、20万再生?新しい人でそれは凄いな』
D
『気づかなかった……いつの間にそんな人が?』
Mashumu
『知らないのもしょうがないですな。僕も結構マニアックな友達に教えてもらって昨日知ったし』
ドルフィン
『URL貼っておくから聴いてみてよ!二人ともびっくりすると思うな!すごく、圧倒される曲だから』
『そんなにすごいんだな』
ドルフィン
『うん!なんていうか、Dの曲を初めて聴いた時と同じような感じがしたんだ。言葉に出来ないことを全部形にしてくれる、みたいな……』
ドルフィン
『でも……Dの曲と違って、POSSEDEREの曲はすごく冷たくて』
D
『冷たい?』
ドルフィン
『うん。うまく言葉にできるか分からないけど……。Dの曲ってほら、暗いような苦しいような雰囲気はあってもどこかちょっとあったかい感じがしてるんだよね』
ドルフィン
『POSSEDEREはそういうのが全然ないんだ。どこまでも冷たいし、全部を拒絶してるみたいな感じ』
ドルフィン
『でも、そこに魅力があって……!正直、ちょっと怖いくらいなんだけど、僕は好きなんだ!』
Mashumu
『分かるよ。あのキレッキレに鋭い感じ、いいよね。あんな曲作れるなんて、一体どんな人なんだろ』
ドルフィン
『うーん。興味はあるけど……知りたくはないかな』
ドルフィン
……僕ももっとすごい絵が描けたらな……
D
『ドルフィン?』
ドルフィン
あ……。なんでもない。ごめんね、気にしないで』
『ドルフィンの絵は十分すごいと思うけどな』
ドルフィン
『えっ?』
『いつもDの曲のイメージにピッタリだしな。今回のイラストもすごく綺麗で、俺びっくりしたんだ』
『優しくて、繊細で、でもほんの少し寂しそうで……素敵な絵だなって思った』
ドルフィン
『……本当に?』
『ああ。俺はドルフィンの絵、好きだな』
ドルフィン
『……そっか。ありがとう、冠』
Mashumu
『……ふあ〜』
Mashumu
『さすがに眠くなってきましたな。そろそろ僕は落ちるね』
ドルフィン
『あ、僕もそろそろ寝ないと。それじゃあ、また明日ね!』
ピコンピコン
D
『…… POSSEDERE……』
カチカチ
D
『……この人、か。もう4曲も出してるんだな』
『そうだな。どんな曲だろうか?聴いてみるか』

〜少年拝聴中〜
↑え?東方のやつだって?気のせい気のせい☆
D
『……!この曲……』
D
(……必死に、叫んでるみたいだ……)
D
(苦しくてどうしようもなくて、たった一人で絶望してる……そんな曲……)
『な……なんだか、すごい曲だな……』
D
『……………おう』
D
(けど、この音……この雰囲気……。どこかで聴いたことがあるような……?)
D
『あ……』
『……ふう、1曲聴いただけでなんだかどっと疲れてしまった。圧倒されるって言ってたの、ちょっと分かるな。』
『どうする、D?他の曲も聴い……』
D
『なあ、冠』
















































D
『この曲ーー冠が作ったんじゃないのか?』
『え?』
D
『昔、冠が作った曲に似てる』
『……………』
『……そうか?』
『うーん、自分じゃよく分からないかも。俺はこんな音選びとかアレンジはできないし……』
『それに、こんな重い歌詞も書けないな』
D
『ああ。確かに、歌詞の書き方は全然冠と違う……。でも……』
D
『冠……じゃないのか?』
『…………』
『ははっ、Dにそこまで疑われると、逆に自信がついてしまうな』
『皆にすごいって言われてる人と間違えてくれるなんて』
D
『……ごめんな』
『気にしないでくれ。それにしてもD、俺が作ってた曲、覚えてくれてたんだな。もう1年以上前になるのに』
D
『……ああ。すげえ印象的だったから』
『そうか。……Dと最初に連絡取りあってから、結構経つんだよな』
『いきなり、アイコンもないしフォロワーも0人の人から一緒に曲を作らないかって連絡がきて……』
『最初、スパムか、って思ったんだ』
D
『あれは……冠の曲を聴いて、すぐ連絡しないとって、急いでアカウントを作って……』
『いや、すごく、嬉しかった』
『だが、それからあっという間だったな。ドルフィンが入って、Mashumuが入って、サークル名が決まって……』
『1年前は、想像もしていなかった。こんな風に誰かと一緒に曲を作るなんて』
『ありがとう、D。誘ってくれて』
D
『……そんなの、いいよ』
D
『……………』
D
『…なあ、冠は、どうして一緒にやろうと思ってくれたんだ?』
『え?』
『面白そう……って思ったからかな?誰かと曲を作るなんて、なかなかできないことだし』
『あとは、初めて聴かせてもらったDの曲がすごく印象的だったんだ。あの時、俺……』
『ーーDの曲に、救われたような気がしたんだ』
D
『は?救われた……?』
『……え?あ、俺、なんか変なこと言ってしまったな。そろそろ作業に戻ろう。D。朝になってしまうぞ』
D
『……お、おう』
『それじゃ、今日はここまでだな。またな、D』
ドット・バレッド
そうか……
ドット・バレッド
ちゃんと救えてたんだ。俺の曲で
ドット・バレッド
良かった………
ランス・クラウン(表)
…………
ランス・クラウン(表)
救われた……?
ランス・クラウン(裏)
何、言ってんだ
ランス・クラウン(裏)
…… POSSEDERE、か
どこぞのモブ
『POSSEDEREの曲聴くと、どこかに引きずりこまれそうな気分になる』
どこぞのモブ
『この曲作ったヤツ、どうかしてるだろ。どこの誰なんだ?』
どこぞのモブ
『聴いてると、このまま消えたくなる。でも、何度も聴きたくなるから不思議』
ランス・クラウン(裏)
……くだらない
ランス・クラウン(裏)
こんな曲作り続けても、まだ全然見つけられない
ランス・クラウン(裏)
見つけられないなら、俺は……
ぬうしぃぃ⤴︎⤴︎
ぬうしぃぃ⤴︎⤴︎
POSSEDEREってイタリア語で「自分の」って意味らしいよ。
ぬうしぃぃ⤴︎⤴︎
ぬうしぃぃ⤴︎⤴︎
んじゃ、グッバイ

プリ小説オーディオドラマ