ヒスンの運転でついたのは
大通りから少し外れたところにある
小さな焼肉店だった
看板のネオンが少し欠けていて
ワクワクする
こういう場所にずっと憧れがあった
仕事終わりに誰かとお酒を飲んで
くだらない話をして、笑って
その日の疲れを笑い声と一緒に
空に流してしまえるような
そんな場所
店に入ってから店内を見回す
彼がクスッと笑う
ヒスンが慣れた手つきで
注文を済ませてくれて
「お酒飲む?」と聞く
この雰囲気に背中を押されて
「飲む」と答えた
しばらくして焼酎とお肉が運ばれてきて
グラスが軽く触れ合う
乾杯の音がして、口に含むと
喉の奥が少し熱くなった
ヒスンが当たり前のようにトングを手にとって
私の分まで焼いてくれる
元々お酒には強くない
けれどふざけたらふざけ返してくれる
ノリがいいヒスンに気分も高まってきて
焼酎を口へ運ぶ手が止まらなくなる
ヒスンが少し目を丸くして笑う
あー、頭回らなくなってきた
彼が何か言いかけて
ふと私の顔を覗き込む
自分でも信じられないくらい
気が抜けた声だった
まだ飲もうとグラスを手に取る私の前で
ヒスンがさっとそれを取り上げた
アルコールの熱と疲れが
一気に押し寄せてきて
視界がゆらゆら揺れる
眠たくなってきたな
そのまま私は
ゆっくりと机に突っ伏した
彼が何か言ってるけど
もうよく聞こえない
ただ私の名前を呼ぶ声だけが聞こえる
ほんの少しの揺れを感じるけど
目を開ける力は残っていなくて
思考が追いつかないまま
意識を手放した















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。