第22話

🐾
943
2024/02/18 08:00
Satomi
良いように扱われてんね、乙

人生に三度訪れると言われているモテ期の



記念すべき一回目の出来事を津々浦々に流ちょうに



鮮烈に印象に残っている今日の出来事を喋ると



この人は辛辣に突き放してきた
Satomi
多分だけど莉犬の片想い拗らせてる女が
姉ちゃんを引き離そうとしたんでしょ
(なまえ)
あなた
あのバスケットボールは事故でして…
Satomi
あの二人と付き合わない方がいいって
神様からの教えじゃない?

「オレは黄色髪の優等生を推すね」と



その話題から一切の興味も無くしてしまったらしくて



眉間に皺を寄せながら机に乱暴に置かれていた問題集



カラフルな付箋が貼られている部分を指で押えて



やり途中になっている問題を解き始める
(なまえ)
あなた
…だから彼女いないんだよ、
シッシと追いやられてこっちもムッとしたので



ボソッとこぼれ落ちた小言がどうやら耳に入ったらしい



「は?」と相手の不機嫌を買ってしまった



くるくるとシャーペンを回して向こうの反論が始まる
Satomi
付き合おうと思えば誰とでも付き合えるし
Satomi
こんな我儘な姉貴より良い人見つかるs
(なまえ)
あなた
じゃあ勝手に付き合ってなよ本命と!!

情緒不安定すぎる…感情の変化が我ながらも激しい



思春期男子にムキになってしまっている自分も馬鹿だ



もしかしたら悔しかったのかもしれない



『おねえたん!』って小さな両手を挙げて



つぶらな瞳で見つめてくれて何処に行くにも一緒だった
Satomi
まって、姉ちゃん?ただオレは…!

分かってたよ、もう一人で生きていけるくらいに



自分の元から巣立てるくらいに立派に成長しているのも



ずっとずーっとお姉ちゃんに執着してくれなくなる



そんな未来とっくに見えてた
Rinu
あなたちゃんっ!今日いちごが安くt…
あれ、どこ行くの?!
Satomi
あーもう!やらかした…くっそ
Rinu
何したのさとちゃん!?ばかばか!!




(なまえ)
あなた
💭…死にたい

軒並み連なる家やマンションの



オレンジ色の温かい灯りをぼんやり眺めていた



日が沈みかかって月光が辺りを照らし始め



ポケットにあるスマートフォンを起動させると



大量の不在着信とLINEの通知
❤️
💬あなたちゃん帰ってきてー!!
❤️
💬いちご全部食べちゃうからね!?
❤️
💬さとちゃんにお説教したよちゃんと!

犬のキャラクターのスタ連と何十件も送られてた文面



やばい普通に既読つけちゃった



それに追い打ちをかけるように通知が飛んでくる
💗
💬あの時は言い方が悪かったごめん
💗
💬莉犬から何かめちゃくちゃ説教された
💗
💬お願いだから何処に今いるか教えて

いっちょ前な口答えをしていたけど



中身は素直で従順、自分も謝りたいから「ごめんね」と



スマホのキーボードを打って返信する



公式LINE並の既読の速さだった
(なまえ)
あなた
もう帰るから平気、っと…

次の瞬間そう書いて送信しようとしたが



コツコツと徐々にこちらに近づく足音に気づき



スマホを握ったまま後ろを振り向いた
家出でもした?

そこには怪しげな男性が



こちらを堂々と見下ろしていて







_____気づけばスマホが手から滑り落ちていた

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