この世には己の欲望や怒りの為に、罪なき者に躊躇なく被害を加える者たちが存在する。
しかし、そんな者達を断罪しようと悪に立ち向かう者たちがいるのも……また然り。
時は2100年…
嘗ては平和主義だった日本に、あらゆる事件が毎日のように発生する時代が到来した──────
ここは東京のとあるホテルの入口。
そこには─────
一人の少女を取り囲むパトカーと⋯⋯
警察官、数十名の姿があった。
その中で一人、少女に向かって叫ぶ男が居た。
そう言って少女に近付くのは、あらゆる犯罪者を捕まえてきた優秀な刑事、原嶋刑事。
後に登場する犯罪組織の専属刑事…『特殊犯罪組織捜査班』に所属し、彼を中心に動いている。
仕事熱心で、事件が解決するまで何処までも追求する男である。
刑事だが、気を引き締めるためにいつもスーツを着用している。
少女とは数ヶ月前に出会い…といっても窃盗犯と刑事の関係なのだが……
彼は一度もこの少女を捕まられたことが無い。
何故なら……
そう言って、誰かから盗んできたであろう、指輪を人差し指に引っ掛け、余裕そうにそれを回す彼女は、凜音。
原嶋は両腕を大きく横に広げ、体全体を左右に動かす素振りを見せる。
しかし、その行動を見抜いた凜音は、神経を体に集中させ、それと共に背後から吹く風に合わせて素早く浮上し、数台のパトカーの上を軽々と飛んでいく。
背後に来ると思っていた原嶋は彼女に先手を取られたようだ。
そう、凜音は風の力で自由自在に飛び回れる異能力の持ち主だったのだ。
当然、彼女を捕まえられるものは居ない。
その為、刑事から常にマークされている。
宝石が大好きで、頻繁に宝石店に忍び込み、窃盗を繰り返す。また、宝の匂いを嗅ぎ付ける事が出来るため、道歩く人からも容赦なく奪う。
恐らく、今日もホテルから出てきた客から奪った物であろう。
その言葉と共に、先程まで凛音の周りを取り囲んでいた原嶋の部下達は、彼女の乗るパトカーの上を一斉に左右から上り始める。
一人の部下の声に皆が一斉に手を伸ばしだす。
彼らが彼女の足を掴もうとした瞬間、ふわっと隣のパトカーへと彼女は移動した。
ドォ━━━━ンッ!!!
凜音が飛んだ振動でパトカーが揺れ動く。
それと共にバランスを崩し、ズルズルと地面に落ちていく彼らは、まるでギャク漫画でも見ているかの様な酷い有様だった。
勢い良く地面に落ちる彼らを見て、凜音は楽しそうに笑っている。
その一方で原嶋は、見てられない…と言わんばかりに、ため息をついた。
そう言ってゆっくり近付く原嶋。
彼が言い終わる前に彼女は風と共に姿を消した──
原嶋は、今日も捕まえられなかった事に対する悔
しさと、自分自身への苛立ちを抑えきれず、部下達に当たるように言った。
そしてパトカーに乗り込もうとした時───
ポケットから着信音が聞こえた。
ポケットからスマホを取り出し、画面を見るとそには『係長』との表示があった。
電話を切るなり、真剣な面持ちで周りの部下に指示をし始める。
そう言って、一斉に現場へと向かった─────
そして彼らが去った後、物陰から3人の男女が出てきた。
そう言って3人は事件現場である繁華街へと向かった。
彼らの正体…それは……
──────断罪組織『Shadow』───────
異能力者の中でも特に優秀な能力を持つ者達だけで結成された、竜崎 海斗を中心とする“国民的英雄”とも言われる組織である。
そんな彼らが
いよいよ本格的に動き出したのであった─────

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!