パーティーから2日後
どうしてもダンスがしたいと言うあなたを
諸々の仕事が落ち着いてから大広間へ連れてきた。
大きなシャンデリアの真下、
広間の中央まで彼女を導いて向かい合う。
あなたの腰を抱き寄せたまま、
何から教えようかとしばし静止して。
あなたは少し俯きがちに頬を赤くする。
…へぇ、なるほど
体が密着したら顔は真っ赤
それなのにジニヒョンと踊ったってわけか
この距離で
この角度で
俺の娘をどんな目で見た?
知らぬ間に何故か余計なことを考えてしまう。
あなたの腰を抱く腕が自然と力むのも不可解だ。
あなたが庇うようなことを言えば言うほど
こめかみがヒクヒクと動く。
「弁解したいが怒られるのは怖い」という顔で
こちらを恐る恐る見上げてくるあなた。
俺は大仰にため息をついて
彼女の体をグイッと抱き上げた。
俺の腕の中で必死にもがくあなたも、
大広間を出てからは諦めて大人しくなった。
そもそもこれから
パーティーに行かせるかも分からないってのに
なおさらダンスはダメだ。
……にしても傷付くな
そんなにジニヒョンがいいのか
あの野郎……人の娘を誑かしやがって
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。