行き着いた先はトイレ。しかも和式で絶対に転びたくない床を伴っているタイプの。
────ドスッ
鈍い音が頭上でなったかと思うと、今度は衝撃が来た。
上を見てみると、遅れて来たのであろう大きなボストンバックがドアのフックにかかっていた。
今にも落ちそうなカバンを取って結局、ここを出ることにした。
ギギィ
いかにも外れそうなドアを開けて外へ出てみると、広めな公園に出た。
どうやら公衆トイレに出ていたらしい。
いつの間にか耳についていたイヤホンからマスターの声が聞こえた。
悪びれた様子もなく、マスターが謝ってくる。
そのあとはマスターの案内にそってひたすら歩いた。多分今日だけでいつもの三日分は歩いた。
マスターは口だけしか動いてないじゃない!と思いながらただただ歩いた。
多分百回は同じことを思った。
マスターの沈黙は、『聞くな』の合図。
何回もやってきて、学んだ。
まだまだ歩く。
そろそろサハラ砂漠が縦断できそうだ。
最後の気力を振り絞って、階段をあがった。
ガチャ
言いかけたところで、ドアが開いて、綺麗な女性がでてきた。
促されるがままに中に入ると、そこには、トレーニング器具やおそらく宣材写真を撮るためのカメラやグリーンバックなど色々なものが散乱していた。
聞くより前に、ミサトさんは話し始めた。
ミサトさんはパンパンになったボストンバックを見て言った。
おぉ、本格的だ・・・と感心したのもつかの間、
・・・座学?・・・勉強?
えぇぇ・・・ぇぇぇぇえ!














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。