第17話

♯17
1,129
2026/07/14 20:41 更新



M!LKのメンバーへの交際報告という大きな壁を乗り越え、季節は巡り12月。





街中が煌びやかなイルミネーションとクリスマスソングで溢れる頃、あなたと柔太朗は、恋人として初めてのクリスマスを迎えようとしていた。





人気者同士の2人にとって、クリスマスの街を堂々と歩くのは至難の業。





そのため、今年の聖なる夜は、柔太朗の部屋で2人きりの「おうちクリスマス」を過ごすことになっていた。




ピンポーン、とインターホンが鳴る。



あなたがドキドキしながらドアを開けると、そこには大きめの白い上質なコートを羽織った柔太朗が立っていた。




いつもより少しだけセットされた髪と、ふわりと漂う甘い冬の香水の匂いに、一瞬で胸がトクンと跳ね上がる。




「あなた、メリークリスマス」




ドアが閉まった瞬間、柔太朗は荷物を床に置くよりも早く、あなたの体を両腕でギュッと抱きしめてきた。



冷たい外気を纏った彼のコートが心地よくて、あなたもそっと彼の背中に手を回す。




「メリークリスマス、柔太朗。寒かったでしょ?」




「寒かった。だから、早くあなたの熱で温めて」




耳元で掠れた声を出す彼は、部屋に入った瞬間から完全に甘えん坊な彼氏の顔をしていた。




リビングに入ると、テーブルの上には柔太朗が内緒で予約してくれていた高級ホテルの特製ケーキと、2人で一緒に選んだチキンが並んでいる。





部屋の明かりを少し落とし、小さなクリスマスツリーのライトだけを灯すと、そこはまるで映画のワンシーンのようなロマンチックな空間に変わった。





「これ、俺からのクリスマスプレゼント」





乾杯を終え、ケーキを食べていると、柔太朗がポケットから小さな正方形の箱を取り出した。






驚きながらリボンを解いて箱を開けると、そこにはシンプルながらも上品に輝く、一粒ダイヤのゴールドネックレスが入っていた。




「わぁ……! すごく綺麗……。ありがとう、柔太朗」





「これ、裏側にちっちゃくあなたのイニシャル入れてもらったんだ。……お守り代わりに、ずっと着けてて?」





柔太朗はそう言うと、ネックレスを箱から取り出し、あなたの後ろに回り込んで優しく首元にチェーンを掛けた。





彼の長くて綺麗な指先が首筋に触れるたび、ゾクゾクとした熱が走る。





「……すごく似合ってる。可愛い」




後ろから抱きしめられる形になり、柔太朗はあなたの首筋に顔を埋めて、深く息を吸い込んだ。




タキシード姿で切なく嫉妬していたあの撮影現場の頃とは違う、完全に自分だけのものになった彼女を愛おしむような、強くて優しいハグ。





「あの、柔太朗……? 私からも、プレゼントがあるんだけど……」





あなたが用意していた手編みのマフラーを渡そうと振り返ると、至近距離にあった柔太朗の瞳が、ゆらりと熱を帯びて揺れていることに気づいた。






ツリーのイルミネーションの光が彼の国宝級の横顔を照らし、息を呑むほど美しい。






「プレゼントは、後でゆっくりもらう。……今は、これが欲しい」





「え……っ」





答えを聞く前に、柔太朗の唇があなたの唇を塞いだ。





クリスマスケーキの甘い味が口の中に広がる、とろけるような口づけ。





撮影の時とは比べものにならないくらい、深くて、熱くて、独占欲がこれでもかと伝わってくる長い長いキスだった。




「ん……ぅ、柔太朗……」




かすかに漏れたあなたの声を飲み干すように、彼は何度も何度も、角度を変えて唇を重ねてくる。





一度唇が離れても、柔太朗はあなたの顎を指先でそっと支えたまま、熱い吐息を漏らした。





「ねえ、マフラーのお返し……今夜は朝まで、俺にたくさん甘やかされてね?」




意地悪に、でも最上級の愛を込めて囁く彼の瞳には、もう誰にも渡さないという本気の独占欲が満ちていた。





誰の目も気にしなくていい特等席で、2人の初めての聖なる夜は、どこまでも甘く、深く更けていくのだった――。

プリ小説オーディオドラマ