朝
スマホの画面に表示されている数字は
06:03__
ベッドから這い出て軽く身支度をし、部屋を出る。
さぁーーーっと階段を降りリビングへ行くと一人の背中が見えた。
まぁそんなの気にしないで冷蔵庫から昨日の夜冷やしておいた水のペットボトルを取り出すと背後から声が降り掛かってくる。
ゆっくり振り返ると目の前にあの顔の白い人がいた。
彼が見つめているのは多分、いや、ここには私を入れて2人しかいないから私ということになる。
さすがに挨拶くらいは返事をしなければと口を開いた。
小さく返事をして彼の横をすーっと通り過ぎリビングを後にする。
階段を駆け上がり私の部屋に飛び込んで息を着いた。
以前の私ならきっとあの人のことなんて見向きもしないでさっさと行動出来ていたはずだ。
でも今はそうすることさえ何だか申し訳ないなんて考えている自分もいる。
手に持っている冷えた水をぐっと飲むと、冴えた頭ではとっくに今日の仕事のことしか浮かばなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!