私たち三人はみんなと合流して観客席の方に移動した。
これから烏野の試合が始まる。
影山くんと日向くんが下に見える。
らっきょヘッドって、
日向くん、言えてるかも。
バシッ
岩泉先輩が及川先輩の背中を叩く。
今のは及川先輩が悪い。
痛がる及川先輩を横目に下を見ると影山くんとばっちり目が合った。
私たちどちらかが声を出すことはなく、向こうがぎこちなく会釈をしてきたから私も同じように頭を下げる。
聞こえてくる先輩たちの会話から、二人の視線の先を見る。
うわ。
あの人ほんとに高校生か?
こういっちゃあれだけど高校生に見えないというか…。
逆にあのリベロは、リベロの中でも小さくて、私と身長が大して変わらないんじゃないか。
コーチ、だろうか。
確かに練習試合のときには見なかった。
…怖そう。
烏野の初戦は常波高校。
席に座ってコートに視線を移す。
どこからかそんな声が聞こえてくる。
分かってないねー。
青城のスタメン二人にここまで言わせるんだ。
日向くん、か。
楽しみだ。
コートに視線を向けたまま私に話しかけてくる。
及川先輩は静かに見入るタイプかと思ったけど。
正直分からない。
けど。
これだけは私から言えることがあって。
この言葉に絶対はないけど。
一拍おいて及川先輩が答える。
ピーーーーー
試合開始から烏野のスパイクはどんどん決まる。
リベロの活躍もあってレシーブも安定している。
烏野のレシーブでボールがセッターに返る。
そこに走り出したのは日向くんだ。
走ってきて_____。
____飛んだ。
影山くんの手から放たれたボールは一瞬にして日向くんくんの手から地面に叩き落される。
一瞬、会場が静まる。
さっきまで私の隣に座っていた及川先輩はいつの間にかそこにはいなくて。
岩泉先輩と金田一くんとともに身を乗り出して試合に見入っている。
思わず感嘆の声が漏れる。
凄い。
ただこの一言に尽きる。
私たちはあれと、戦うんだ。
楽しい。
私も立ち上がって前にいる三人と肩を並べる。
落ちた強豪。
飛べない烏。
この体育館に入って何度もその言葉を聞いたけど。
ここにいる全員、もう誰一人としてその言葉を口にできる人はいないはずだ。
つい、声を出してしまった。
金田一くんはゆっくりと口を開く。
復活。
古兵
烏野の復活が今ここに。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。