第59話

57,王様の憧れ
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2024/04/01 15:45 更新



影山Side




あなたさんは敬語を外してと言っているけど、俺が外せるまでには多分時間がかかる。




もしくは一生外せないと思う。









あなたさんは俺の憧れだから。

























俺があなたさんを始めて知ったのは中1の頃。





あなたさんは国際大会に出たりするような結構な実力者だった。





同い年で自分と同じセッターだったからあなたさんが出場している試合動画はよく見た。







同い年とは思えない、周りより遥かに秀でた実力と、あなたさんにしかできない自由なプレースタイルに心から惹かれた。








その上、あなたさんから上がるトスは優しくて、正確で。





そして迷いがなくてまっすぐで。






スパイクが必ず決まると確信が持てるトスだった。








なんていうか、トスに愛があるというか、




よくわかんねぇけど、とにかくすごかった。










俺もこうなりたいと思った。







思い描いた通りのセッターだった。









あなたさんは試合の中で誰よりも多くボールを触るし、強いからどんどん強い相手が現れてたくさんバレーができる。








俺の理想と重なった。





なのに、急にバレー界から姿を消して、始めてその姿を生で見た時には青城のマネージャーをしていて。
 



何がどうなってんのか状況が理解できなかった。









もうバレーをやっていないということが、一番信じられなかった。


















それでも。







まっすぐにコートを見つめるその視線はあの頃から変わってなくて。









俺にバレーボールの素晴らしさを、バレーボールの全てを教えてくれたその姿に変わりはなかった。









自分なりに勇気出して声かけたら想像通りのいい人で俺が考えていることを全て見透かしたように笑い、俺が欲しかった言葉をくれた。
 





中学の頃。バレーが好きで、たくさんバレーをするために試合に出て勝ちたかっただけなのに。




うまくいかなくて。








あなたさんにあって俺にはなかったもの。











それは楽しむことだったのかもしれない。









あなたさんの笑顔は優しくて眩しい。
















バレーの神童と呼ばれていたあなたさんに何があったのか俺は知らない。








けど、そんなこと関係ない。






俺が見た中で一番バレーボールを愛していて、同じくらいバレーボールに愛されているあなたさんに、












奇跡的に会えたんだから。















俺のバレーボールを知ってほしかった。

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