恋って、こんなに難しいんだ。
初めてそう思ったのはーー
あの人に出会った日だった。
春の始業式。
体育館の後ろ、少し眠そうな顔で立っていた3年生。
名前を呼ばれた瞬間、ざわつく空気。
「吉田仁人」
笑わない。
無駄に騒がない。
誰にも媚びない。
……なのに、目が離せなかった。
たぶん、あの瞬間から。
私は終わってた。
翌日から、私は毎朝先輩に挨拶するようになった。
廊下ですれ違えば声をかける。
部活終わりも、見つけたら走っていく。
でもーー
それだけ。
目も合わせない。
好き……って言った時なんてーー
って、冷たい顔で言われた。
それでも
それでもね
振り向いてくれないからって、
好きじゃなくなるわけないじゃん。
先輩はいつも距離を取る。
「俺に構うな」
「後輩は後輩だろ」
「期待させること言うなよ」
……そんなこと言うくせに。
雨の日、私が傘を忘れてたら
って、ぶっきらぼうに自分の傘に入れてくれる。
そういうとこ
ずるいんですけど。
ねえ、先輩。
私はあと何回「好き」って言えばいいですか?
あと何回笑えば、
あなたは振り向いてくれますか?
それでも私はーー
今日も、懲りずにあなたを追いかける。
たとえ、振り向いてもらえなくても。
それでも、
好きだから。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ ︎🌟 20 ↑












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。