くしゃりと心が潰れる音がした。
胸を押さえて、またたらいへ視線を戻すセラ夫に、私は何も言えず放心してしまった。
同じ人を好きになってしまった。それも大事な親友と同じ人を…
胸が詰まる、私はどうしたらいいの?今からでも私も好きなんですよってつたえたほうがいい?でも、そんなことしたら、セラ夫が傷つける。
セラ夫は、私を嫌いになるかもしれない。
私が悩んでいる間にもセラ夫はどんどん話を進めていってしまう。
私の両手を握り、セラ夫は必死な目で見上げてくる
私もたらいが好き。
頭で考えるより先に、そう伝えたいと口が動いた。
でもすぐに、私は唇を引き結ぶ。
私が自分の想いを明かしてしまったら、この関係が壊れてしまうんじゃないか。
私はセラ夫に数え切れないほどの助けてもらった。なのにその恩を仇で返そうとしている。
セラ夫を傷つけず、親友同士でいられる方法。
それは一つしかない。だから…。
私はたらいへの想いに蓋をすることにした。
ぱっと表情を輝かせて、セラ夫が抱きついてくる。これで良かったんだ。心で泣きながら、私は笑う。辛いのに笑うってこんなに苦しんだってこと。産まれて初めて知った日だった…、












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。