第43話

迫る帯
967
2024/05/06 14:29 更新



さらに翌日の昼下がり。






宇髄天元
宇髄天元
これを着ろ。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
はい。
宇髄天元
宇髄天元
これを持て。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
はあ…。
宇髄天元
宇髄天元
あとは…これ被っとけ。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
わわっ。



紫苑は宇髄によって、またもや変装させられていた。




宇髄天元
宇髄天元
今日は通行人に聞き込みしてもらうからな。記者っぽくしとけばやりやすいだろ。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
なるほど、、道理でどこかで見たことある服装だと思いました。


紫苑の格好は、隊服のシャツの上から上着をはおり、下はもんぺで頭には大きなベレー帽を被っているという感じだ。
小さなメモ帳も持たされている。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
服はともかく、この帽子は?大きすぎてずり落ちてくるんですけど…
宇髄天元
宇髄天元
ああ…それか。



宇髄天元
宇髄天元
髪結んでそんなか突っ込んどけよ。そんで深めに被っとけ。
宇髄天元
宇髄天元
そうすりゃ、パッと見わかんねえだろ?お前の色。



_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
ありがとうございます!
宇髄天元
宇髄天元
いいってことよ。帽子はそのまま貰っとけ。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
いいんですか?!
宇髄天元
宇髄天元
おう。なんてったって俺様は神だからな!そんじょそこらの人間とは懐の大きさが違うんだよ。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
本当にありがとうございます…!
宇髄天元
宇髄天元
そんなに喜ぶことか?帽子一つで。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
私にとっては、とても喜ぶことなんですよ。
宇髄天元
宇髄天元
…そうか。























紫苑は大通りに潜り込み、歩いている人々に聞き込みを開始した。



_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
もし、そこのお方。
住民
うん?どうしたちびっ子?
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
失礼、私は記者見習いをしているものです。記事になる事案を調べているのですが…
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
近日中にここ吉原でなにか変わった出来事などありませんでしたか?
住民
へえ、君みたいな若い子が熱心だなあ。
 
住民
変わったことか…俺は詳しくは知らないけど、数日前京極屋がなんか騒がしかったらしいぞ?
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
京極屋…!他に知っていることはありますか?
住民
いや、これ以上は俺も知らない。この通りの店の店主にでも聞いてみるといいかもな。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
貴重な情報、ありがとうございます。
住民
頑張れよー!




















住民
数日前の京極屋?ああ…あのことかしら?
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
何かあったんですか?
住民
ええ、小耳に挟んだ程度ではあるけど…
 
住民
女将さんが亡くなったらしいわね、それも事故死だとか。
住民
確か向かいの店の人がその場に居合わせたそうだから、聞いてみたら?
























住民
あの時か…凄惨な現場だったよ。見ていられなかった。
住民
血の海の中で死んでいた女将の顔…あれはなにか恐ろしいバケモノでも見たかのような顔だった。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
…女将さんの死因は、分かりますか?
住民
転落死だよ。建物の窓から落ちて死んだんだろうってさ。でも、、おかしいんだよな。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
おかしい、とは?
 
住民
あの店、確かにここじゃかなり大きいとこだけど、そこから落ちたぐらいであんなことになるかなあ…って思ってさ。
住民
でもそれしか考えられない。謎に満ちてるって訳だ。






































_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(ここまでの情報を整理すると…)



紫苑は聞き込みを終え、屋根の上で頭の中の情報を整理する。

_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(数日前、京極屋の女将が不可解な死を遂げた。)
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(転落死と思われるがそれにしては外傷が酷く違和感がある、と…。)


_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(…まあ、おそらく鬼の仕業。
何らかの方法で屋根よりも高いところから落とされた、あるいは地面に叩きつけられた、とか。)
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
今夜辺り見張りますか…





宇髄天元
宇髄天元
どこをだ?
いきなり真横から声がした。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
ビクッ!
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
…いたんですか。
宇髄天元
宇髄天元
今日は気づかなかったな?
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
考え事をしていたので…。
宇髄天元
宇髄天元
ほーん。で?怪しいとこは見つかったか?
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
京極屋で女将が数日前に死んでいます。不可解な点もあるのでそこに鬼がいる可能性が。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
今夜はそこを見張っておこうかと。
宇髄天元
宇髄天元
わかった、そっちは任せる。俺は一応もう二つの店を見とくから、なんかあったら鴉飛ばせ。
宇髄天元
宇髄天元
鬼を見つけても深追いするな。躊躇わずに俺を呼べ。いいな?
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
わかっています。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
「生きてるやつが勝ち」…でしょう?
紫苑はうっすら微笑んで宇髄の言葉をなぞる。

宇髄天元
宇髄天元
宇髄天元
宇髄天元
……ははっ、よくわかってるじゃねえか。



宇髄天元
宇髄天元
頑張れよ。んじゃ明日な。
シュッ


_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん







_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
…あんなことを言われはしたけど、、、
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
何も、起こらなければいいな…。





































夜が近づいてきて、遊郭が大勢の人で賑わい始めた。




京極屋の向かいの建物の上から、紫苑は店の様子をうかがっていた。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(ここから中の物音とか、聞こえるかな…?)
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(やっぱり屋根裏にでも忍び込むべき?)










しばらく時間がたった頃だった。






ガターンッ!!!!







と、大きな音がした。上の階からだ。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
?!今の音は…
紫苑は急いで京極屋の上に跳んだ。


そしてなるべく目立たないように、音が聞こえた部屋の障子の前へ移動する。








中から、女の声がする。


紫苑は声がしっかり聞こえる位置まで近づき、耳をすませた。















そしてそこで、ようやく気づいた。














???
気安く触るんじゃないよ。のぼせ腐りやがって、このガキが。




_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
っ​──?!










_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(鬼の気配​──!!)








































_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
透璃、透璃。
鎹鴉(透璃)
バサッ  ウズイサンニ、デンゴン?
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
ええ。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
京極屋で鬼を見つけた。もう少し調査をするが、戦闘するつもりはないから心配しないで欲しい、と。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
伝えてくれる?
鎹鴉(透璃)
モチロン。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
よろしくね。





紫苑は透璃にそうことづけた後、さっきとは別の部屋の窓の外へと降り立った。











花魁らしき人物、いや、鬼と接触し気を失ったらしい善逸の様子が気になったのだ。















禿「善子ちゃん、善子ちゃん。












中から禿の声がする。善逸がいるのはこの部屋で間違いないことを確認すると、紫苑は耳を傾け、部屋に誰もいなくなる瞬間を待った。
















禿「それじゃあ、お大事にね。」
善子
うん。ありがとう。






スっと襖の閉まる音を聞き取り、紫苑は窓の障子に手をかけた。








_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
善逸さん、突然すみませ​────
















_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
?!






























紫苑の目は、はっきりと"それ"を捉えた。






























天井から伸びてきて善逸の背後に迫る、桃色の帯・ ・ ・ ・を…!















_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
善逸さんっ!!





紫苑は障子を勢いよく開け、即座に善逸の元へと飛び込んだ。




そして帯から離れるように反対側の壁まで善逸を抱えて跳ぶ。












紫苑が振り返ってキッと帯を睨むと、帯はまるで蛇のようにうねうねと動き、揺れている。




我妻善逸
我妻善逸
えっ?えっ?紫苑ちゃん?
我妻善逸
我妻善逸
どうしたの、急に、だ、抱きついてくるなんてえ…///
どうやら彼はまだ帯に気づいていないのか、顔を赤くしてくねくねと動き、照れている。






そんな善逸を無視して、紫苑はぴしゃりと言う。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
鬼です、善逸さん。
我妻善逸
我妻善逸
え?







しばしの沈黙。










我妻善逸
我妻善逸
ぎゃーー!!
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
しっ!静かに。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
落ち着いて、大丈夫です。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
あの帯、見覚えがあったりしませんか?
善逸は真っ青になってガクガク震えながらも、その帯を見つめる。

我妻善逸
我妻善逸
あれ…ここの花魁が身につけてた帯だ!
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
やはりそうですか…








帯「ごちゃごちゃとうるさいね。あんたも鬼殺隊なんだろ?ちょうどいい…
二人まとめて攫ってあげるよ!」








帯が素早く伸びて、二人をまきとろうとする。












が、紫苑が刀を抜き帯を止めた。




_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
ねずみさん!善逸さんの刀を!

紫苑はどこかにいるであろうムキムキねずみに呼びかけつつ、襲ってくる帯を受け流し、斬っていく。



_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(透璃は戻って来た…?)
善逸をかばいながら窓の方へ移動し、ちらりと外を見て透璃の姿を探す。

宇髄を呼んでもらうためだ。


_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(さっきから何度も首らしき位置を斬っているけど、再生している…つまりこれは本体じゃない。)
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(人をさらうために動く分身と言ったところだろう。)

紫苑はいろいろと考えながら、縦横無尽に動く帯を対処する。












しかし、次の瞬間。



帯が紫苑の横をすり抜け善逸の方へ​─────




我妻善逸
我妻善逸
ひぃぃぃぃぃぃっ!!!



_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(いけない!!!)




















ドンッ!

















我妻善逸
我妻善逸
(えっ?)













善逸は宙を舞っていた。













…紫苑が、窓から押し出したのだ。



我妻善逸
我妻善逸
紫苑ちゃ……!




_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
善逸さん…!
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
どうか、宇髄様に──





言い終わる前に、帯が紫苑を捕らえた。










帯「うふふ…つーかまーえた。」

 「お前は顔立ちは悪くないねえ。美味しく喰ってあげるからねえ。」








そしてそのまま、紫苑は帯に吸い込まれるようにして消えてしまった。

















善逸が見聞きしたのはそこまでだった。











背中から地面に落ち、人々の視線が彼に集まる。





そんな視線も気にならないほど、善逸は混乱していた。
我妻善逸
我妻善逸
(どうしよう、どうしよう…紫苑ちゃんが、、)








我妻善逸
我妻善逸
そうだ、宇髄さんっ…!









どうした、大丈夫かと言う人を押しのけて、善逸は宇髄に助けを求めるため走り出した。













……まだまだ、夜明けまでは遠かった。
























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