第44話

生きてるやつが勝ち?
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2024/12/27 10:40 更新
時は少し遡り…






夜の遊郭を飛び回って情報を集める宇髄の元に、一羽の鴉が飛んできた。




宇髄天元
宇髄天元
紫苑の鴉か?
鎹鴉(透璃)
(コクリ)
宇髄天元
宇髄天元
どうした、なんかあったか。
鎹鴉(透璃)
シオンカラ、デンゴンデス。
キョウゴクヤ デ、オニヲ ハッケン。
チョウサ ヲ スルガ、セントウ ハ シナイ。
シンパイスルナ。ト。
宇髄天元
宇髄天元
…お前、喋るのヘタクソだな。すっげえ聞き取りずらいんだが?
鎹鴉(透璃)
マアヒドイ!
シオン ハ ソンナコト、イワナイデス!
宇髄天元
宇髄天元
ああすまんすまん。




宇髄天元
宇髄天元
(それにしても、ついに見つけたか、鬼を。女将を殺したのも大方そいつだろう。)
宇髄天元
宇髄天元
(聞いた感じ緊急性は無さそうだが…こっちの区切りが着いたら合流するか。)





宇髄天元
宇髄天元
後で合流する。それまで下手に動くな、と伝えてくれ。
鎹鴉(透璃)
ギョイ!

鴉が飛び去っていくのを確認すると、宇髄は引き続き調査に戻る。
















程なくして鴉が戻ってきた。今度は随分慌てた様子で。
鎹鴉(透璃)
オ、オトバシラサマ!タ、タタタッ、タイヘンデス!
宇髄天元
宇髄天元
なんだ?さっきも来たばかりだろ。忘れもんか?
鎹鴉(透璃)
チガウンデス!














鎹鴉(透璃)
シオンガッ、オニニサラワレマシタ!













宇髄の両目が大きく見開かれる。









次の瞬間、彼はその場から消えていた。


風よりも速く走り、京極屋へ急ぐ。



それを必死に追いかける透璃。



鎹鴉(透璃)
マッテクダサイ、オネガイマッテ!
鎹鴉(透璃)
モウ、アソコハ ダレモ、イマセン!!
シオンハ、オビ ニ スイコマレテ…キエタンデス!


それを聞いて宇髄は足を止める。
宇髄天元
宇髄天元
なんだって?帯?
鎹鴉(透璃)
モモイロ ノ オビガ、マキツイテ、キエチャッテッ、ソレデ…
鎹鴉(透璃)
キイロイ アノコヲ、ニガシタンデス!
宇髄天元
宇髄天元
…!(善逸を逃がして捕まったってことか?!)
宇髄天元
宇髄天元
…あいつに話を聞くのが先だな。さてどこにいるのか…







我妻善逸
我妻善逸
宇髄さあああん!!!…





宇髄天元
宇髄天元
!あっちか。
宇髄天元
宇髄天元
いくぞ。お前も来い。
鎹鴉(透璃)
ハ、ハイ!


























善逸は自分の耳を頼りに宇髄を探していた。
我妻善逸
我妻善逸
(あの人は特別音が静かだから、なかなかどこにいるか分かりずらい…)
我妻善逸
我妻善逸
(でも、早く合流しなくちゃ。じゃないと紫苑ちゃんが…!)






その時、遠くで微かに聞こえた音を、善逸はとらえた。
我妻善逸
我妻善逸
っ!宇髄さん?!
辺りを見渡すが、誰もいない。
我妻善逸
我妻善逸
(〜〜もう!どこにいんだよこんな時に!💢)



我妻善逸
我妻善逸
宇髄さあああん!!!
ヤケになって大声で叫ぶ。















宇髄天元
宇髄天元
うっせえな。ただでさえ目立つのにさらに目立つようなことすんじゃねえよ。


我妻善逸
我妻善逸





我妻善逸
我妻善逸
うわああ?!なんで急に現れtムグッ?
宇髄天元
宇髄天元
だから黙れっての!ほんっとに物分りの悪いやつだな!!
突然善逸の目の前に宇髄が至近距離で現れた。



思わず大声を上げた善逸は、今宇髄に口を塞がれて…いや、つままれている。




宇髄天元
宇髄天元
いいから移動するぞ。
我妻善逸
我妻善逸
なんなんだよもぉぉ…!












































善逸は宇髄に人の気配のない細い路地に連れてこられた。



宇髄天元
宇髄天元
詳しく話せ。どういう経緯で紫苑は攫われた?
我妻善逸
我妻善逸
えっと…



善逸はしどろもどろになりながらも、

自分が上弦である蕨姫花魁に殴られて気絶したこと、

目が覚めて一人になったところで突然紫苑が飛び込んできたこと、

桃色の帯が喋って、襲ってきたこと、

紫苑が自分を庇って帯に吸い込まれ、消えたことを話した。





宇髄天元
宇髄天元
(鴉の報告とだいたい一緒だな…)
宇髄天元
宇髄天元
なにかその他に情報はあるか。


我妻善逸
我妻善逸
うーんと………あ……でも確証は無いし…


宇髄天元
宇髄天元
それでもいい。言ってみろ。
我妻善逸
我妻善逸
あ、はい…。





我妻善逸
我妻善逸
紫苑ちゃんを攫ったあと、あの帯が下の方に動く音が聞こえました。

宇髄天元
宇髄天元
帯が動く音だと?
我妻善逸
我妻善逸
俺、耳が異常にいいんで、結構小さい音でも聞き取れるんです。
宇髄天元
宇髄天元
(にしても布がすれるような小さい音を、雑音のうるさい建物の外からとらえるだって?尋常じゃない聴力だな。)

宇髄天元
宇髄天元
下っつうことは一階、もしくは更に下・・・地面の下か?
宇髄天元
宇髄天元
調べる必要があるな…
我妻善逸
我妻善逸

























翌朝、事前に伝えられていた通りに炭治郎と伊之助は店の屋根の上であと三人の到着を待っていた。

竈門炭治郎
竈門炭治郎
善逸、遅いな?
嘴平伊之助
嘴平伊之助
寝坊でもしたんじゃねーの。


たわいもない話をして待つと、しばらくして宇髄が現れた。善逸も一緒だ。

竈門炭治郎
竈門炭治郎
おはようございます宇髄さん。善逸も。それと…あれ?
一人いるべき人がいないことに気づいて、挨拶しようとした炭治郎は戸惑った。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
紫苑は…後で来るんですか?
宇髄天元
宇髄天元
いや、来ない。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
え?


宇髄天元
宇髄天元
紫苑は行方知れずだ。鬼にさらわれたらしい。


炭治郎と伊之助に衝撃が走る。

まさかあの紫苑が…と。


我妻善逸
我妻善逸
…俺を庇ったんだ。俺が潜入したところに鬼がいて、狙われたところを助けてくれて、、。
ぽつりと善逸が言う。その声音には悔しさが滲んでいた。







宇髄天元
宇髄天元
…俺は嫁を助けたいがためにいくつもの判断を間違えた。
宇髄天元
宇髄天元
お前らはもう花街ここを出ろ。階級が低すぎる。ここにいる鬼は上弦だ、対処出来ない。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
(上弦…?!)


竈門炭治郎
竈門炭治郎
い、いいえ宇髄さん、俺達は…
宇髄天元
宇髄天元
恥じるな。生きてるやつが勝ちなんだ。
宇髄天元
宇髄天元
連絡がとだえた者は死んだとみなす。












我妻善逸
我妻善逸
……あの。

ここまでずっと黙っていた善逸が口を開いた。


我妻善逸
我妻善逸
さっきから黙って聞いてれば、帰れ?階級が低い?生きてるやつが勝ち?
我妻善逸
我妻善逸
ふざけんじゃねえよ…!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
ぜ、善逸…?




我妻善逸
我妻善逸
今わかりましたよ。あんたって本当に、、、



我妻善逸
我妻善逸
とんでもなく自己中だな?!この派手柱が!!!💢
宇髄天元
宇髄天元
ああ?!💢てめぇなんつった!もういっぺん言ってみろ!
我妻善逸
我妻善逸
何度でも言ってやりますよ!あんたは究極の自己中野郎だ!!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
善逸!そんなことを言ってはダメだ!
我妻善逸
我妻善逸
炭治郎は黙ってろ!…あんたは俺が目の前で紫苑ちゃん攫われて黙って帰る人でなしとでも思ってんのかよ?!さすがにそこまで薄情じゃないわ!

善逸の脳裏には目の前で消えた紫苑の姿と珍しくあせる彼女の瞳が、焼き付いて離れなかった。
我妻善逸
我妻善逸
それに生きてるやつが勝ちとか当たり前ですよ死にたくないし!それには賛同するけど今の状況に関してはできねーよ!ノコノコ逃げ帰ったら生きてても罪悪感しかないし!
我妻善逸
我妻善逸
あと連絡無かったら死んだ扱いする理論もお嫁さん探してる今のあんたが言うと矛盾してるのわかってます?!紫苑ちゃんも死んだと思ってんのかよあんたこそ薄情じゃねえかこんちくしょう!!あんたこそ恥を知れ恥を!!!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
善逸!もうやめるんだ!
嘴平伊之助
嘴平伊之助
たまにはいいこと言うじゃねえか権逸!
我妻善逸
我妻善逸
そうでしょ!あと俺善逸!
炭治郎に羽交い締めにされても善逸はまくし立てるのをやめない。
我妻善逸
我妻善逸
とにかく!いくら臆病でも恩を仇で返すような人間じゃないんで!そこんとこ誤解しないで貰えます?!少しは俺らの気持ちも考えろよこの自己中柱!!











宇髄天元
宇髄天元
………














しばしの沈黙の後、宇髄は大きなため息を吐いた。

宇髄天元
宇髄天元
…竈門と嘴平は引き続き店で調査、鬼の捜索にあたれ。善逸は俺と来い。紫苑を探す。以上。
それだけ言うと宇髄は善逸を引っ掴み、さっさと行ってしまった。
我妻善逸
我妻善逸
ちょっと!連れていき方にも程が…!









竈門炭治郎
竈門炭治郎
…行ってしまった。
これは、俺たちを信じて任せてくれたと言うことでいいのかな?と炭治郎は思った。




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