時は少し遡り…
夜の遊郭を飛び回って情報を集める宇髄の元に、一羽の鴉が飛んできた。
鴉が飛び去っていくのを確認すると、宇髄は引き続き調査に戻る。
程なくして鴉が戻ってきた。今度は随分慌てた様子で。
宇髄の両目が大きく見開かれる。
次の瞬間、彼はその場から消えていた。
風よりも速く走り、京極屋へ急ぐ。
それを必死に追いかける透璃。
それを聞いて宇髄は足を止める。
善逸は自分の耳を頼りに宇髄を探していた。
その時、遠くで微かに聞こえた音を、善逸はとらえた。
辺りを見渡すが、誰もいない。
ヤケになって大声で叫ぶ。
突然善逸の目の前に宇髄が至近距離で現れた。
思わず大声を上げた善逸は、今宇髄に口を塞がれて…いや、つままれている。
善逸は宇髄に人の気配のない細い路地に連れてこられた。
善逸はしどろもどろになりながらも、
自分が上弦である蕨姫花魁に殴られて気絶したこと、
目が覚めて一人になったところで突然紫苑が飛び込んできたこと、
桃色の帯が喋って、襲ってきたこと、
紫苑が自分を庇って帯に吸い込まれ、消えたことを話した。
翌朝、事前に伝えられていた通りに炭治郎と伊之助は店の屋根の上であと三人の到着を待っていた。
たわいもない話をして待つと、しばらくして宇髄が現れた。善逸も一緒だ。
一人いるべき人がいないことに気づいて、挨拶しようとした炭治郎は戸惑った。
炭治郎と伊之助に衝撃が走る。
まさかあの紫苑が…と。
ぽつりと善逸が言う。その声音には悔しさが滲んでいた。
ここまでずっと黙っていた善逸が口を開いた。
善逸の脳裏には目の前で消えた紫苑の姿と珍しくあせる彼女の瞳が、焼き付いて離れなかった。
炭治郎に羽交い締めにされても善逸はまくし立てるのをやめない。
しばしの沈黙の後、宇髄は大きなため息を吐いた。
それだけ言うと宇髄は善逸を引っ掴み、さっさと行ってしまった。
これは、俺たちを信じて任せてくれたと言うことでいいのかな?と炭治郎は思った。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。