if視点
今日は有栖と稲荷が学校を休んだ。
出席番号1番と2番が居なくなると結構不思議なもん。
いつも仲の良い2人やから、どっかに遊びに行っとるのかもしれん。
それで学校を休むとは……!けしからん!!
いつもうるさい有栖と
それと一緒に居る稲荷。
え?声に出とった??
次の日
初兎視点
昨日はもしいむくんと会ったら物凄く気まずいし、
仕方なく学校を休んだ。
今は教室の扉の前で立ち往生。
でもずっとこのままだと一生教室に入れん。
よし……ッッ……。いむくんが居たらちゃんと謝るッッ!
そう決めて扉に手をかけた。
この先生は……僕たちの友情に亀裂を入れた。
彼女は居ないと言う嘘も付いた。
ガラガラガラガラガラガラ……
if先生のことを少しだけ睨んで教室に入る。
いむくんの気持ちも知らないで……ッッ。
って
高倉先生に聞くと今日もいむくんは休みらしい。
もうすぐ1時限目が始まる。
自分に問う。
答えは自分がよく分かっていた。
いや、自分では気づきたくなかっただけかもしれん。
たった一つの。
僕にしか出来ないこと。
それは、簡単。
『それだけ?』と思っか?
6年間いむくんの親友をやってきたけど、
いむくんが多分1番苦手だと思うこと。
あの日、あの場所いた
僕が……いむくんの助けになる。
いむくんには気の毒やけど、結果がどうであろうと
僕にはかける言葉はひとつしかない。
諦めていいはずの恋なんて、最初からしないから。
6限目……ちょうど今日は英語だった。
今日、真実を聞く。
だから、いつもより緊張して授業に挑んでいた。
力が無い挨拶を終えて、if先生を追いかける。
ガタッ……
ガラガラガラガラガラガラ……
先生はとっくに離れた廊下の奥に居た。
呑気に話している声を聞くと
少し目がパキってしまう。
ト、ト、ト、ト、ト、……ト、……ト、。
先生のところまで早歩きで近づき、
真剣な顔で言う。
怖い……、
if先生は…この前……ッッ。
何をしていたんだ??
いむくんって言うのは辞めておく。
もう彼を巻き込みたくないから。
ガチャ……
キィィ……
錆びたチョウツガイの音が響く。
トタタタタ……タタタタタ……
屋上の真ん中に立って、
クルっと振り返りif先生に向かって言う。
さっき腹を括ったはずなのに、
やっぱりいむくんを思うと、真実を聞くのが怖い。
if先生の動きが一瞬だけ止まる。
その次の瞬間、『何でお前が知っとる?』と言った顔でこっちを見てきた。
『ふーーー』っとため息を着いて、
頭をかきながら言われる。
先生は真顔で……いやちょっと目付きが悪い顔で
こっちを睨む。
…………嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ
あまりの動揺にうつむいてしまう。
彼女……じゃない??いや、否定はしとらんし……
冷や汗が屋上の床にボタボタと垂れる。
ギュ……
拳に力が入る。
うつむいたまま、怒り調子で…聞く。
重たい顔を上げて、
自分でも分かるくらい鋭く睨む。
ガバッ……
先生睨む大きく近づく。
ごめん。いむくん、
必要ない情報は喋らんつもりやから。
すると先生は額に手を当てて
『あちゃー』と言う感じでこっちを見る。
お互いに真剣な顔が瞳に映っていた。
また音の無い春風が吹いて、if先生はゆっくりと口を開けた。
目の白目の割合が99.9%になるくらい見開いて、
全身を縛っていた鎖から解き離れたような気がした。
ヘタァ……
全身の力が抜けて、その場に座り込んでしまった。
魂が抜けたような声で呟く。
バタンッ……
後ろに思いっきり大の字になる。
さっきまで見てた雲とはまったくの大違い。
輝いて見えた。
スクッ……
この話、この真実は、
……いむくんは、
そーゆー子。
え?……あ?あ、あぁ……www
if先生がフッと笑う。
うーーーん……脈アリ反応まではまだ遠いかぁ。
ガチャ。
良かった。いむくん。
明日……
学校に来たら、絶対、絶対に幸せになれるから。
家に帰って、昨日いむくんに送ったLINEを見る。
<いむくん💎🩵
⋆┈┈┈┈┈┈┈昨日┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
既読……
昨日はまったく付かなかったLINEにも既読が付いとった。
<いむくん💎🩵
⋆┈┈┈┈┈┈┈今日┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
ピコンっ……
次の文を考えている間に!
タタタタ、タタタタ、……
慌てて文字を打つ。
タ、……タタタ、タ、……
送るか迷う。
……えいやぁ!もうどうにでもなれ!!
ポタッ……
スマホの画面に雫が1滴垂れる。
スパンっ……
プチッ………________
いむくんからの来るかも分からない返信が怖くて、
そう送った後にLINEの画面を閉じた。
目には、溢れそうな涙が、。
込められていたとか……。
稲荷家にて。
こっちは、1滴じゃ収まらなかったみたい。、笑
いむくんのスマホの画面には
文字が滲んで読めなくなるくらい、
大量に溢れてたんだって。
決めた。明日、、
<いむくん💎🩵
ピコン……
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!