第14話

#13 操られた記憶、闇の契約
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2025/10/19 22:08 更新
意識の奥底。
痛みも感覚も、何もかもが霞むような闇の中。

ゆあんは、ひとつの"光景"をぼんやりと見ていた。
















___数日前。









《Nocturne》の本部の裏通り。
夜霧がかかる港の倉庫群。

ya.
ここに、情報屋がいるって聞いたけど…
警戒しながら足を踏み入れた、そのとき___
背後から冷たい気配が走った。


振り返るより早く、何かが視界を覆い尽くす。
ya.
っ…!?な、にこれ…!!

冷たい手が首に触れた瞬間、視界が黒に染まる。


気づけば、
前に立つ“仮面の男”がゆっくりと微笑んでいた。

金属の仮面に、ひとつの文字。――“N”。
N13:指導者
君が、赤音 悠亜あかね ゆあん、か。

N13:指導者
君の心は、綺麗だね。素晴らしいよ。

ya.
何、をっ、…!!
N13:指導者
だからこそ、壊しがいがある。
仮面の男は右手をかざす。

赤黒い光がゆあんの額へ流れ込み、
思考が焼けるように掻き乱されていく。
ya.
なっ…やめ…ッ!



ya.
う"あぁ"あぁッ…ぁあッ、!!
頭の中に、声が響く。

他人の声でも、仲間の声でもない。
___“命令”だった。
N13:指導者
君は《Nocturne》の諜報員ではない。
N13:指導者
君は《N13》に戻った、
被検体番号、「V-08」だ。
その言葉が流れ込むたびに、
自分という存在がどこかへ引きずられていく。
ya.
やめろ…っ!俺は、俺は…
被検体番号、なんかじゃッ…!!
けれど、抵抗の声は空しく消えていく。



視界の中に、仲間たちの姿が次々と溶けていった。
なおきりの笑顔も、じゃぱぱの声も、全部遠くへ___
N13:指導者
…これで良い。君はまた、あそこへかえるんだ。



そう言って、
仮面の男はゆあんの胸に何かを刻み込んだ。


黒い紋章。

その瞬間、ゆあんの中で“何か”が割れる音がした。
意識が戻ると、そこは暗闇。
星のない夜空を逆さまに写したような、無音の世界。


ゆあんはそこに立っていた。
息をするたびに、胸の奥が焼けるように痛む。



気づけば、目の前に「自分」が立っていた。




いや、それは自分ではなかった。

髪の色も瞳の色も同じ、けれど__表情がまるで違う。
血のような紅の瞳。
唇の端を、薄く、楽しそうに歪めている。
rv.
やぁ、やっと気づいてくれたね。


ya.
…お前、誰だよ。

rv.
名前…か、リベル、とでも名乗っておこうかな。
君の"影"であり、君の中の"悪魔"だ。
rv.
あの仮面の奴が刻んだ印…
あれで、俺は目覚めたってわけさ。

ゆあんの胸に焼き付いた黒紋が、脈動する。


どくん、どくん、と鼓動するたびに、
リベルの姿が鮮やかになっていく。
rv.
俺はずっと、君を見てきた。
嘘つきたくても付けないお前の代わりに、

rv.
___残酷になれなかった君の代わりに、
影の底で、ずっと見てきた。


ya.
……なんで、今出てきた。
rv.
簡単だよ。
rv.
死にかけて、心の"殻"が割れたんだ。
その隙間から、やっと出てこれた。
闇が波打ち、ゆあんの足元から薄い水が滲み出す。

リベルの足跡だけが、波紋を立てて歩いてくる。
rv.
選べ、ゆあん。生きるか、死ぬかを。
選択する自由は君にある。


ya.
何、言って…っ、

rv.
生きたいなら、俺と契約しな。
君の代わりに俺を宿せ。
rv.
代わりに、お前の"痛み"と"恐怖"は俺が喰う。



rv.
その代償に、お前は二度と迷えなくなる。
リベルの指が、ゆあんの顎に触れる。


同じ顔なのに、声が妙に低く、甘く響いた。
それは悪魔の囁きのように、静かで、優しかった。
rv.
君が戦う理由は、もう見失っただろう。
けど___誰かを"守りたい"って心は、
rv.
まだ、消えていない。

rv.
それがお前の鎖でもあり、翼でもある。
ゆあんは息を呑む。


言葉の裏に、確かな共鳴を感じていた。
リベルは“悪魔”でありながら、まるで自分の心を代弁するようだった。
ya.
……俺は、
ya.
俺は、もう逃げたくない。
もう誰も、傷つけたくないから。

ya.
だから___生きる。



ya.
…リベル。その力、俺に貸してくれ。



影は僅かに笑った。
その笑みはどこか嬉しそうで、悲しげだった。
rv.
___契約、成立。
___瞬間、リベルの身体が黒い光に砕け、
ゆあんの胸へ吸い込まれる。



焼け付く痛み。

だがその奥に、確かな“熱”が生まれる。
rv.
忘れないでね、ゆあん。
俺は、君の中に居続ける。
rv.
いつかまた___
 
声が遠ざかる。




胸の奥で、黒い紋章が脈を打つ。

その鼓動は、もうひとつの“命”の音。

___その音は、悪魔リベルと共に、
生きるという選択をした音だった。
___まぶしい。
瞼の裏に、柔らかな光が差し込んだ。

遠くで誰かの声がする。

no.
…ゆ、あんくん、聞こえますかッ、?
その声を聞いた瞬間、心臓が跳ねた。

ぼやけた視界の中で、
焦ったように顔を覗き込んでくるのは——なおきり。
no.
のあさんッッッ…!!



ya.
な…おきり、さんッ、?
自分の声が震えていた。

息をするたび、胸の奥がひりつく。


 けれど、確かに“生きている”。


あの闇の中、影の男が差し伸べた手。
 「生きるか、死ぬか——選べ」
そう言われて、震えながら掴んだその手の感触が

まだ残っている。
ya.
…俺、生きて、
no.
えぇ、えぇ…!生きています…!
なおきりは、息を呑むように笑った。
震える手でゆあんくんの頬を撫で、額を軽く合わせる
no.
よかったッ、本当に…よかった、!
その声が涙でかすれていた。
ゆあんくんはただ、その腕の中に顔を埋めた。





___どれほどの時間が経っただろう。
 やがて、静寂を破るように通信機からノイズが走る。
hr.
『——ヒロです。全班、応答を。拠点でノイズを確認。嫌な気配が……近い。』
なおきりが顔を上げる。
no.
ヒロくん…拠点に何か?
hr.
『詳細は不明。ただ、所々ノイズが走る…』
その言葉に、ゆあんくんの背筋が凍った。



 まるで誰かの声のように、影が囁いた。
rv.
___来るよ、ゆあん。
rv.
___『記憶を喰うモノ』が。


ya.
リベル、?
no.
どうしましたか?
ya.
いや…何でもないです。
笑おうとしたけれど、

胸の奥がざわついて仕方がなかった。
NEXT→♡25以上

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