彼は写真を回収して
少し重そうに段ボールを持ち上げ
段ボールの横から足下を覗き
慎重に上っている
階段を上りきり
何かを思い出したかのように振り返る
段ボールを一度置き
わざわざ私に見えるように
ひらひらと写真をなびかせ
小悪魔的な笑みを浮かべた
嘘だろ…
本当に持っていったぞ…
後でこっそり取り返しに行こ
あれは私の幼少期の
見られたくない写真だし
よりにもよって___と写ってるやつだ
一旦諦め、重だるい体に力を入れ
靴がぶっきらぼうに置いてある
玄関へつま先を向ける
⚔️Side
庵 あなたの下の名前___
控えめで僕を怖がっている人
委員会が同じになった時は
そんなイメージしかなかった、
僕が苦手と顔に書いてあるくらい
表に出やすい人で
美人な挙句モテる。
どれくらいかと言ったら
ファンクラブが開設される
ほどの規模だ
僕の友達からも
『同じクラスなら紹介してよ』
と言われる
まぁ、僕は嫌われているんですけどね
僕に頼むなんて、運が悪い
どんまいです
この人は幼馴染の府野 未来
なんでも高校に入学してから
庵さんの事を気に入ったらしく
『私の推しだ!
この人に会うために生まれてきた!』
と理由のわからないことを言っている
この『庵 あなたの下の名前語り』は
誰も止められないだろう
現にファンクラブを開設したのも
未来だからな
長年、未来にとって
身近な存在であったはずの
僕はただの友達で
庵さんに隣を奪われた感じだ。
それに、僕は未来の未知しれぬ行動を
ただ眺めていることしかできない。
しかし、
そんなことで落ち込んでいる
暇などないの朗報を聞いた。
___新しくお母さんと妹ができる___
そう聞いた瞬間奇声をあげそうになった
実際にはあげたが、
そんなことはどうでもいい
"妹"という単語を聞けただけで
僕の想像が広がった
妹、なんて良い響きなのだろうか
妹=ロリ、これこそ全人類を救う
(両手を広げ生命を感じています)
引っ越しのために
会いに行くのを楽しみにしていたが
実際に会ったら
___ロリじゃなかった___
しかも相手は"庵 あなたの下の名前"ときた
きっと未来に話せば
大変な事になるだろう
庵さんも何処か気まずそうに
していたし、
最悪だとか思っているんだろう
刀也お兄ちゃんと
呼ばせようとしてたのが
庵さんだと知ると
急に恥ずかしくなった
けど庵さんと関わってみるとわかる
憎くても憎めないタイプの人間だ
しかも幼少期の写真がめっちゃロリ!
幼少期はみんなロリか、
きっと
きっと、未来は庵さんの
こういうところが好きなんだろう
今までは関わるのを避けていたけど
幼少期ロリをきっかけに
彼女に興味が湧いた
___Wait until next time🌟___













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。