車の振動が収まり
お父さんが後ろに振り返り
『荷物を降ろそうか』と言った
先に降りていた剣持刀也は
トランクから荷物を取って運んでいる
意外と気が利くんだな…
信じられない…
何だあの社交的な笑顔は
お母さんには通用してるけど
私には通用しないぞ?
あの中は誰にも
見られたくない物が入っている。
だからちょっと重いけど
2階の部屋まで運ぼうと思っていた
お父さんが私の大事な物の
入った箱に手を置こうとすると
予想の位置より下に行き
お父さんはバランスを崩している
トランクに積まれた
少量の段ボール
私が持って行こうとしていた物は
あるべき場所になく
2段が1段になっていた。
2人で目を見合わせ
もう一度トランクの中を見る
勿論そこには他の段ボールしかない
刀也?剣持刀也が
持って行ったのか
ダッ
家の中に入って行った
段ボールを持った剣持刀也を
追いかける
バンッ
玄関の扉を開け靴を揃えずに入る
迷いなく進んでいった先には
段ボールを持ち直しながら
階段を上がる彼が
私の存在に気付いたのか
目が点になりながら見ていた
いた!剣持刀也!
何かあって中身を
見られるわけにはいかない
自分でも驚くくらい焦っていて
剣持刀也が持っていた
段ボールを無理やり奪おうとした
まずいバランスを崩した
まだそんなに上ってないけど
このままだと階段から落ちる___
ドカッ
痛っ…く、ない…?
咄嗟に閉じていた目を恐る恐る開ける
彼が私を庇ってくれたらしく
今、私は彼の上に乗っかっている
頭が真っ白になり
彼の体温が嫌でも伝わる。
今のは完全に私が悪い…
怪我してないかな、大丈夫かな
取り敢えず謝らないと…
言葉を繰り出そうと
口を動かすが緊張で声が出ない
きっとまた弱々しい声に
なってしまうだろう。
いつもの呆れた顔
でも何処か安堵した表情で
見間違えかと疑う。
彼の体から離れ
今日の彼は少し話しやすいからか
自然と肩の力が抜けて
すぅっと深呼吸をする
そして彼は柔らかい声で
問いかけながら
何かを拾い始めた
嫌な予感がして周りを見渡すと
彼が持っていた荷物の中身が
全部散らばっていた
彼が手に取ったものを
取り返そうと手を出すが
ヒョイっとよけられてしまった
彼は写真をまじまじと見て
手で口を抑えていた、
あまりにも真面目な顔で
身を乗り出して聞いてくるから
反射で"いい"と発しそうだった…
あの写真は属に云う
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一 黒歴史 一
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人に見せる事も避けるのに
彼に渡すことなどできない。
彼はダメと告げると
柄にもなくシュンと効果音が
ついたように落ち込んでいる
私がロリと発すると
顔をバッとあげ興奮気味に
応えてきた
そして、早口でロリについて語りだした
この人ってこんなに喋るっけ?
語るのに夢中になってるうちに
写真を段ボールにしまおう
彼のロリ語りが
途絶えたかと思うと
動かしていた手を掴まれた
異性に免疫がないため
その場に座り込んだまま
剣持刀也が回収するのを
口を開けて見ることしかできなかった
___Wait until next time🌟___












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。