フウは微笑みを絶やさない。
一体、何が面白いのだろうか。
風が口角を吊り上げたその時。
私の横を、"何か"が通りすぎる。
私は見を翻してそれを避けた。
それは──────シューターの弾。
フウは口笛を鳴らしながら、
私にシューターの照準を合わせる。
ここはブキ使用禁止区域。
フウも結局は"彼ら"と同じなんだと、苛立ちを覚えた。
バリアに包まれ、右手にウルショを構えたフウが私に襲いかかる。ああ──────
ガシャン…!!
私はフウを押し倒していた。地面に勢いよく落ちたウルショとシューターは、バラバラに崩れている。
私は左手でフウの右手を抑え、空いた手で私とフウの手を手錠で繋いだ。
フウは目を伏せ、呟いた。
わかってしまう…その気持ち。
大切なヒトを守る為なら、自分さえも犠牲にして構わない…そんな気持ちが。
今にも消えそうな、か細い声で呟く。
私は、こんなにも素敵で大切な友達を守るために…やらなくてはいけないことがある。
私は立ち上がり──────倒れたフウの頭に銃を突きつけた。
フウが起き上がろうと身体を揺らす。
私はすかさずフウに再度銃を突きつけた。
フウは私を鋭い瞳で睨みつける。
そう、これでいい。
フウは、か細い声で静かに呟く。
フウの瞳からは、1粒の涙が零れ落ちていた。
私はゆっくり拳銃を下ろし、フウの横に腰かけた。
ヴー…ヴー…ヴー…
シリアスな雰囲気に似つかないバイブ音。
それが自分のイカフォンの着信だと気がつくと、血の気がひいた。
ボスにこの事がバレてしまえば、私はすぐさま処分されるだろう。勿論、フウも同様に。ああ、無期懲役なんかでは許されないかもしれない。
最悪、命が消えてしまうかもしれないんだ。
私は震える手で、イカフォンの画面をタップした。
ツーツーツー…
フウは優しく微笑む。
空には大きな満月が、宝石の様に輝いていた。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!