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第3話

記憶2
 空に星が輝き始めた頃、彼女はあの森を抜けた先にある草原で寝転び、うつらうつらしていた。 
 夢と現実の世界の狭間に落ちている彼女は色々なことを考えている。国にいたときまだ両親が近くにいて幸せだった頃、ずっと一緒にいた双子の兄の事……。
(なまえ)
あなた
元気にしているかな……
 彼女は、兄と一緒に遊んでいる時間が好きだった。ただ笑いあって、なにも考えずに楽しめばよかった。
(なまえ)
あなた
迷惑もたくさんかけちゃったけど、もう会って謝ることすら出来ないんだもんね
 彼女が戦争へ行った理由は、ただ一人の兄を守るためである。あの日、各家で一人兵士を出さなければならないという命令が伝えられたのだ。
 しかし、父親はもう年をとっていて戦地にいける状態でもなかったし、兄はとても体が弱かった。
 だから、あなたが戦地へ行くしかなかったのだ……。でも、あなたは女性である。周りの男達に比べれば力も弱い。だから、役に立たなければすぐに帰れると思っていた。
 しかし、皮肉なことにあなたには戦いの才能があった。帰ろうにも、自身の才能が足を引っ張る。
 最終的には、好奇の目に耐えられなくなり逃げ出してしまったのだが……。もし逃げなければ、今は“幸せ”だったのだろうか?
 そう思うと、衝動だけで突き進んできた今までの道が急に愚かなものに思えてきた。
(なまえ)
あなた
……なにやってるんだろうなぁ……
 あなたの頬に一筋の涙が伝った。心の奥に押し込めていたはずの後悔が押し寄せてくる。
レイト
ねぇ君、どうして泣いているの?
 後ろから知らない声がかかったのは、そのときだった。
(なまえ)
あなた
だ、誰!?
 あなたの後ろに、知らない男が立っていた。ねこの毛のように柔らかそうな金髪を持って、ほっそりと枝を連想させるように痩せ細った体。
 驚いて飛び上がり、一歩後ろに下がるあなた。手にはしっかりと剣が握られている。
レイト
そんなに驚かなくても良いじゃん……
 やれやれ、という表情をするレイト。あなたが構えている剣に対して、怯えた様子は見えていない。
レイト
ほら、その危ないのしまって……
 あなたは、この目の前の男をじろりと睨む。見た感じ、何か危ないものを持っている様子はない……。
(なまえ)
あなた
はぁ……
 敵ではなさそう、と判断したのかあなたは一つため息をついてから剣をおろした。
レイト
そうそう、人に危ないものを向けちゃダメだよ
 ひょうきんな、どこかおちゃらけた声であなたに笑いかける男。しかし、あなたは警戒を怠らない。
(なまえ)
あなた
……何なんですか、あなた。
 キッと、まだ男を睨み付けている。何かがあれば、すぐに逃げられるように荷物の持ち手に手を伸ばしている。
レイト
いやーね、なんで女の子が一人でこんなところにいるのかな~って、少し気になっちゃったったの。
(なまえ)
あなた
……それは、あなたにも言える事ではないでしょうか
 冷静に突っ込むあなた。それもそうだ、目の前にいるこの男は、見た目だけならあなたと同年代に思えるほどに若々しかった。
 実は童顔なだけで大人なのだろうか……そんな考えが、あなたの頭のなかを巡る。
レイト
僕? 僕はもう16歳だから大人みたいなものでしょ
(なまえ)
あなた
16って……
レイト
別によくない? 今日、すっごい星が綺麗だったからさぁ……散歩したくなっちゃったんだよね。
 それが当たり前、というように笑う男。それに釣られるようにして、あなたも表情が緩みそうになる。しかし、すぐに表情を元に戻してあなたは気になっていたことを尋ねた。
(なまえ)
あなた
……因みにご両親は?
レイト
両親? ああ、だいぶ昔に亡くしたよ。戦争でさ。
(なまえ)
あなた
戦争……
 その答えを聞いて、あなたは自分の愚かな行動を悔やんだ。戦争、なんてワードをあなた自身もう一生聞きたくなかったし、この目の前の相手にも嫌な思いをさせてしまっただろう。
レイト
そ、父親は戦場で。母親は僕を庇って死んじゃったんだ。
(なまえ)
あなた
……
 なにも言えなくなってしまったあなた。そんな彼女を見て、優しい微笑みを浮かべた男は、あなたに言った。
レイト
ねぇ君、今日泊まるところあるの?
(なまえ)
あなた
……ありません
 それなら……と、一回くるっとまわって空を駆ける流星のように、どこか儚くすぐに消えてしまいそうな、けど美しい表情で言った。
レイト
それじゃあ、僕の家においでよ。泊めてあげることくらいなら出来るから、さ
(なまえ)
あなた
でも……
レイト
信用出来ないって? この辺りは盗賊業を生業にしているやつらがうようよいるところだ。こっちにいる方が危険だと思うけどね。
 確かに、と納得してしまったあなた。いつものあなただったら、絶対にこのような考えを持つことはないだろう。しかし、
(なまえ)
あなた
ありがとうございます……
 ここ数日の疲れが溜まっていたのか、それとも先程の話のせいで感覚が麻痺してしまったのか……わからない。けど、あなたはふらふらと男についていってしまったのである。
レイト
そうそう、僕はレイト。君は?
(なまえ)
あなた
僕は……あなたです
レイト
そっか。あなたちゃん、宜しくね!!