第31話

30話 洸人の想い
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2025/08/28 09:33 更新
洸人















大夢 洸人。京介見た?
洸人 え?何で?
大夢 さっきフラーッて外に行って戻ってきてないんだ
   よ。

洸人 ええっ?











  





何やってんだあいつ。


あー本当に!!もう。



























俺が外を探しに行くと、1人公園のベンチに座る京介。

















そのポツンとした後ろ姿を見て、
俺が京介を気にするようになった、あの頃を思い出す。

















オーディション中、同じチームになった京介。

1人だけダンス未経験だった彼は、練習についていけず、今にも折れそうになっていた。










ある夜、気分転換に散歩しようと歩いていると
小さい音楽と、息遣いが聞こえる。














音をたどっていくと、そこにいたのは、1人でとにかくダンスを踊る京介。








こんな時間に、、こんなに寒い日に外で。1人で。










泣きそうな顔で、でも、諦めない真剣な顔で、
ただひたすらに、汗を流して踊っていた。





   









気付けば体が動いていた。
京介の横で俺も一緒に踊っていた。
その日は、お互い何も話さず、ただひたすらに、
踊り続けた。















"なんでそんなに頑張れるのか。"












ある時、そう聞いた俺に、京介はまっすぐな目で、答えた。

















"デビューして、守りたいものがある。"









デビューしてやりたいこと、ではなくて、
守りたいもの。
   



   




不思議だなと思ったけど、、


















その目を見た時から



その言葉を聞いた時から





俺は、






京介を支えるって、そう決めたんだ。

















 

守りたいものが

京介が見ている人が、、、

威尊だと分かってからも。



























努力を惜しまないところ、それを人に見せないところ。
ぶっきらぼうだけど優しくて頼りになるところ。
あの可愛い笑顔。すぐ照れて赤くなる顔。






 



全部全部、好きだから。





















「たくさん支えてくれてありがとう。」

京介はそう言ってくれたけど、
京介の存在が、俺を支えてくれているんだ。










俺のことを見ていなくてもいい。
ただ、お前を1人にはしない。



















 




 
 










洸人 ばーか。

後ろからぽんっと頭を叩く。











京介 洸人くん、、なに?

洸人 身を引かなければ、あの2人もくっつかなかったの
   に。
京介 そうしたら、匠海が幸せになれないだろ。
洸人 でもお前も幸せになれないじゃん。
京介 匠海が幸せならいいんだって。






洸人 、、泣いてるのに?










振り向いた京介の頬には涙の跡。
大きな目にも、涙が浮かんでいる。






 





俺の言葉によって、また、涙の滴が、流れる。












あー、やってしまった。



 









もっと優しい言葉をかけてあげられたら、、。
思っていることをそのまま、伝えられたら、、。







俺の言葉では、京介を助けられない、、。










京介 ほっといてよ。



京介は俺から目を逸らし、そう言った。




洸人 ほっとかねぇよ。













ごめん。京介。本当はもっと優しく声をかけてあげられたらいいんだけど、、。



俺には無理だ。








でも、、京介が大切だから。だから、、離れない。










洸人 なんで何も言わなかったんだよ。
京介 、、洸人くんには分かんないだろ。本当に好きな
   気持ち。自己満足じゃないの。












そんなの、、。俺だってちゃんと知ってるよ、、





















洸人「京介、これから一緒に頑張ろうな。いつでも頼れ
   よ。」 
京介「ありがとう。頼りにしてるよ。威尊のことも支え
   てあげてくれる?」






洸人「京介体調悪いだろ?早く帰れよ。」
京介「俺より威尊の方が体調悪いんだ。」








洸人「何してんの?」
京介「威尊に嫌なコメントしている人がいるから、消し
   てる。」
洸人「お前は大丈夫なのかよ。」
京介「俺は我慢できるから。」





洸人「京介、大丈夫か?」
京介「俺は大丈夫。威尊の方が、、」



















京介は、いつでも威尊だった。


そんな京介が、傷付くところを見たくなかった。

















洸人「京介は今日体調悪いので早く帰らせてくださ
   い。」
スタッフ「そうなの?了解。」






洸人「京介へのアンチコメント消してもらっていいです
   か?」
マネージャー「分かった、すぐ消す。」
 





洸人「柾哉、今回は京介を1人部屋にさせてあげて。」
柾哉「何かあった?」
洸人「多分、悩んでるから。」








洸人「威尊、今は京介の隣に行ってあげて。」
威尊「うん?分かった。」






















 





京介は知らないから。








知らなくていいと思ってた。俺のしたことなんて。




























京介 洸人くん?









でも、、、













 




洸人 、、好きだ。


京介 え?

  




  






もう、見ているだけは無理だ。











 









涙目だった京介の目が、乾いた。

普段から大きい目が、一段と大きくなる。







  







洸人 京介が好きなんだよ。




京介 え!?え、、洸人くんが俺を?







やっぱり分かっていなかったよな。





当然か。お前は匠海しか見てなかったからな。


















洸人 俺、京介が好きだ。

















真っ直ぐに、伝えた。

















大きく揺れる、京介の瞳。












京介 何も考えられないよ。








洸人 考えろよ。




京介 いやいや、、








後退りする京介を、俺は捕らえた。










京介が幸せなら俺はそばにいなくていいって、そう思っていた。

この想いを言わなくてもいいって。



俺だと、優しくしてやれないし。泣かせるし。













だけど、、

















やっぱり、俺が幸せにしたいんだ。

柾哉とも約束した。






















こんな不器用な俺だけど、、
言葉が悪い俺だけど、、






















好きなんだよ、お前のこと。本当に。




















      











お願い。京介のこと、俺に、幸せにさせてよ。

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