第54話

054
103
2025/11/29 07:15 更新







Hima72 .
やめろっ……!!


 ガタガタと鳴る窓枠。


 もしかすると外れて入ってきてしまうのではないかということを考えると更に恐怖で動けない。


Kurumi .
安心して。


 ないこの声がさらに低くなる。


Kurumi .
俺は、仲間は傷つけない。なっちゃんだって大切な仲間だもん。


Kurumi .
けど__


 ゆっくりと目を細めてこちらを覗き込む。

Kurumi .
俺の正体を誰かに言うなら、話は別だから。


 俺の喉がひきつった。

Kurumi .
今日見た事は誰にも言わず、なっちゃんの胸にしまっといて。


Kurumi .
もし誰かに言ったら……直ぐに分かっちゃうからね?


 ふふ、と笑うないこだが、目元は全く笑っていない。

Kurumi .
ね、約束だよ?



 吸血鬼特有の命令に近い声色。

 社長として聞いているガチトーンも相まって妙な色を帯びていた。


 俺は震えながらも、かろうじて声を出した。



Hima72 .
誰にも、言わない、言わないからっ…!




 ほんの一瞬、ないこは満足そうに微笑んだ。

Naiko .
…うん、偉いね。


 その声は、いつもの優しいないこに戻っていた。

 まるで今までのやり取りが幻であったかのように。

Naiko .
怖がらせてごめんね、なっちゃん。
でもさ、俺にも守りたいものがあるの。



 意味深な言葉を残し、ないこは夜の闇へと消えていった。


 俺の部屋に、静寂が戻ってくる。


 一方、俺の心臓の音はうるさくなるばかりだ。


Hima72 .
…無理だ、言えるわけない……、誰にもっ…!!



 その時俺は、明日にVOISING全体の会議があることを思い出した。



 このまま行ったとて、俺はいつもの俺を演じられる気がしない。



Hima72 .
…ないこも、許してくれるよな。




 そう思い、俺はないこに一通のメッセージを送った。




 『ごめん、明日の会議出ないわ。』



   と 。






 
 少しして、俺のスマホが振動した。


 開いてみると、1件の通知が。


















  『なっちゃんならそう言うと思った。』



  『いい判断じゃん。』




















  『それと、明日家に誰かが来ても、何も言わないでおいてね。約束。』









 夜風で部屋の窓枠が揺れた。











プリ小説オーディオドラマ