ガタガタと鳴る窓枠。
もしかすると外れて入ってきてしまうのではないかということを考えると更に恐怖で動けない。
ないこの声がさらに低くなる。
ゆっくりと目を細めてこちらを覗き込む。
俺の喉がひきつった。
ふふ、と笑うないこだが、目元は全く笑っていない。
吸血鬼特有の命令に近い声色。
社長として聞いているガチトーンも相まって妙な色を帯びていた。
俺は震えながらも、かろうじて声を出した。
ほんの一瞬、ないこは満足そうに微笑んだ。
その声は、いつもの優しいないこに戻っていた。
まるで今までのやり取りが幻であったかのように。
意味深な言葉を残し、ないこは夜の闇へと消えていった。
俺の部屋に、静寂が戻ってくる。
一方、俺の心臓の音はうるさくなるばかりだ。
その時俺は、明日にVOISING全体の会議があることを思い出した。
このまま行ったとて、俺はいつもの俺を演じられる気がしない。
そう思い、俺はないこに一通のメッセージを送った。
『ごめん、明日の会議出ないわ。』
と 。
少しして、俺のスマホが振動した。
開いてみると、1件の通知が。
『なっちゃんならそう言うと思った。』
『いい判断じゃん。』
『それと、明日家に誰かが来ても、何も言わないでおいてね。約束。』
夜風で部屋の窓枠が揺れた。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。