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第1話

再会
373
2024/07/01 14:27
街は、冬の寒さが訪れて、
カップルは手を繋ぎ歩いて行く。
暖かそうにマフラーを巻いて、
クリスマスソングがあちこちのお店から漏れて聞こえる。


私は1人、コンビニで買ったコーヒーを飲みながら、
ベンチに座ってボーッとその人並みを眺めていた。

すると、真隣のベンチにいたカップルが
別れ話をしていた。

女「もう無理。ほんと、ついていけないから別れて」

男「何で?全然今まで何も無かったじゃん」

女「あんたが気付かなかっただけで
私はずっと我慢してたのよ。もう限界。さよなら」

男「待ってっ………」

女の人が去っていった。
男の人は1人で、はぁっとため息をついてベンチに座る。


○○(うわっ……気まず……)

チラッと隣に目をやると、たまたま目が合ってしまった。

男「……なに?」

○○「なっ、何でもないです!!失礼します!!」

びっくりして、急いでその場を立ち去った。

数日後、私は新しく出来たコンビニで
働くことになっていた。
そこで、接客等指導するのに、他店舗から
社員の方が来てくれるらしい。
緊張しながら出勤した。

○○「おはようございます」

何人かから返事が来た。

そして、正社員と店長の紹介があった。

店長「店長の渡辺です。よろしくお願いします。
それと、他店舗からしばらくの間、
接客とか指導してくれる社員の方が、この方です」

社員「社員の目黒です。
短い間ですけど、よろしくお願いします」

○○「よろしくお願いします……
(あれ…店長、どっかで見たような…)」

一通り、基本のレジ打ちや商品棚の整理、
掃除など教えてもらって、休憩に入る。

○○(はぁ……なんだかんだ疲れたな)

渡辺「おつかれ〜」

○○「あ、店長お疲れ様で……」

パッと顔を見ると、やっぱり、この間ベンチで
居合わせた人だ。彼女に振られてた……

翔太「なに?」

○○「いえ…」

翔太「あ」

○○「え?」

翔太「思い出した、あの時の!」

○○「思い出しちゃいましたか…」

翔太「○○、お前絶対言うなよ!!」

○○「え!言えるわけないじゃないですか!!
逆に!!別に言いませんから大丈夫ですよ」

翔太「最悪だわ、あんな場面見られたやつと
同じ職場とか」

○○「そんな言い方しなくても良いじゃないですか!
私だって別に見たくて居たわけじゃないし!」

翔太「絶対絶対秘密だからな」

○○「分かってます!そんな威嚇しないで下さいよ。
怖いし!」

蓮「お疲れ様です」

○○・翔太「お疲れ様です」

蓮「なんかあったんですか?」

○○「いえ、何も。私そろそろ休憩終わるんで、
目黒さん、この椅子使ってください。
コンビニの休憩室って狭いですよね笑」

蓮「ありがとう。困ったら、休憩中でもいいから
呼んでね」

○○「ありがとうございます」


店長は何だかピリピリしちゃうけど、
目黒さんは優しくて良かった。
とりあえずその日一日は何とかやり過ごした。

帰り際、何かあった時に連絡するためにと、
店長と目黒さんとLINEの交換をした。

帰宅すると、目黒からLINEが来ていた。

蓮[今日は初日お疲れ様。大変だったと思うけど、
これからも辞めずに続けてくれると嬉しいです]

○○「目黒さん、ほんと優しいなー♡
それに比べて店長、ほんっとつんつんしてて
怖いんだから…」

○○[覚えることたくさんで大変ですが、
辞める気はないので大丈夫です😊
これからもよろしくお願いします]

○○「これでよしっと…あーでもマジで疲れたなー」

何日か経って、それぞれが仕事を覚えてきた頃。
シフト調整で、店長と2人になった。

翔太「○○さ、あの時何であそこにいたの?」

○○「え、私の方ですか?えーっと……」

翔太「ま、別に言いたくないならいいんだけど」

○○「なんですか、自分から聞いといて。
あの日、私、派遣切りになっちゃって。
仕事無くなっちゃって…1人でコーヒー飲んで
途方に暮れてたって感じです。
ほんと、たまたまそこにいただけで…」

翔太「そっか。○○も大変だったんだな」

○○「え、もっとバカにされるかと思いました」

翔太「仕事無くなったら生活大変じゃん。
バカにする要素ないでしょ、別に」

○○「あ…ありがとうございます」

翔太「でもここで会うとは思わなかったわ。
世間どんだけ狭いんだろうな。
大都市って言われてるココで」

○○「ほんとですよね〜。ところで店長?
今日2人じゃないですか」

翔太「うん?」

○○「なんか逆にっていうか…
ちょっとモヤモヤするんで、
突っ込んじゃって良いですか?」

翔太「え?何を?」

○○「店長なのに天然すぎません?
あの時のことですよ。あの彼女さん……」

翔太「あぁ……あー、ね。あれは、もうほんと、
あの時で終わった。あのまま一切連絡取れないし」

○○「店長はまだ…好きなんですか?その人のこと」

翔太「んー、なんだかんだ長くいたし。
引きずってはいるかな。ほら、男はさ、
こういう時引きずる生き物じゃん?笑」

○○「そうですか…それは、復縁する事を
応援するべきなのか、新しい出会いを
応援するべきなのか、どっちなんですかね?」

翔太「さぁ……俺にも分からん」

そう言って少し寂しげに笑った店長の顔を見て、
○○は少し、胸がチクッとした。
聞いたらマズかったかな…と少し後悔した。

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