―― 故郷の紅茶店「ハイマティー」で代々伝えられる流儀
サンギナリアはただの紅茶じゃない。 黒糖の重厚な甘さと、赤茶葉の野蛮で鉄のような血の渋みがぶつかり合って初めて完成する、生き物みたいな飲み物だ。 適当に淹れたらただの甘ったるい泥水になる。 真面目にやれば、飲んだ瞬間に故郷の土と風が喉を通り抜ける。
必要なもの(1人分 約300ml)
• サンギナリア専用茶葉……8〜10g(かなり多め。これが肝心)
• 軟水(できれば汲みたての水道水)……320ml(蒸発分見越して少し多め)
• 黒糖(黒糖塊or粉末)……18〜25g(好みで調整。最初は20gが無難)
• 厚手のティーポット(陶器or銀が理想。鉄瓶でも可)
• 湯沸かしケトル
• 計量スプーンと秤(目分量は危険)
手順 (厳守推奨)
1 ポットを熱湯で温める 沸騰したお湯をポットにたっぷり入れ、蓋をして1分半以上放置。 → ポット全体が熱くなるまで待つ。ここをケチると後で温度が足りなくなる。
2 茶葉を入れる 温めたポットのお湯を一旦捨て、すぐにサンギナリアの茶葉8〜10gを投入。 → 香りが立つので、ここで軽くポットを振って茶葉を均す。
3 黒糖を先に入れる(これがハイマティーテース流最大のポイント) 茶葉の上に黒糖を全部投入。 → 黒糖は後入れより先入れの方が、煮出すように溶け込みながら渋みを丸く包む。後入れだとただ甘いだけの紅茶になるだけだ。
4 沸騰直後の湯を一気に注ぐ ケトルから「ゴボゴボ」と音がして、500円玉大の泡が激しく立つ瞬間のお湯を、勢いよくポットに注ぐ。 温度は最低でも96℃以上。理想は98〜100℃。 → 低い温度だと赤い血のような渋みが抽出されない。
5 蓋をして待つ ―― 絶対に4分30秒 タイマー必須。 3分だと甘ったるいだけ、5分超えるとえぐみが強すぎる。 4分30秒で、黒糖のキャラメル感と赤茶葉の鉄・血・土の深みが一番バランスよく出る。
6 最後の1滴まで絞り切る ポットを軽く2〜3回、回してから、カップに注ぐ。 最後の数滴に一番濃いエキスが溜まっているから、絶対に残さない。 (残す奴はハイマティーテース人として失格だ)
7 そのまま飲む ストレートで。 ミルク? レモン? 冗談はやめてくれ。 サンギナリアにそんなものを入れるのは、夜の海に砂糖を撒くような冒涜行為だ。
味わいの目安(正しく淹れた場合)
• 最初の一口:黒糖の濃厚な甘みとキャラメルの香り
• 中盤:赤茶葉特有の鉄と土のような野性味、かすかな血の金属感
• 余韻:長い・重い・深い。喉の奥でじわじわと赤黒い熱が広がる
これがハイマティーテースのサンギナリアだ。 東京の「黒紅の館」で出されるのは、まあ……悪くない妥協形だ。 でも本当の味を知りたければ、俺の言う通りにやってみろ。
……ただし、在庫があと僅かしかないということは忘れるな。 大事に淹れてくれ。
―― 左 記 東京の片隅にて












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。