第33話

初恋の君へ〜甘い時間〜⑧
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2024/01/07 13:15



大我Side





北「もう俺に誤魔化しは利かないからな」

 

オレは渋々白状する。



大『……無理矢理にキスされた』



その言葉に、北斗は愕然とする。



北「…………っ、あいつ、俺の大我に……」



北斗は、怒りに握り締めいた拳をふるふると打ち震わせていた。



北「許さねぇ……あいつ、一発殴らないと気が済まない」



今にも山科先輩の所に怒鳴り込みに行きそうな北斗を、オレは慌てて引き止めた。



大『ま、待って。北斗!』


北「離せっ、大我」


大『駄目だっ!』



オレは北斗にぎゅっと抱きついてきて、小柄な体を使って必死に引き止める。



小柄なオレが大柄な北斗を引き止めるのは大変なことだが、自分のせいで北斗に暴力沙汰を起こさせる訳にいかない。



大『北斗がオレのために怒ってくれるのは嬉しいけど、暴力だけは振るってほしくない』


北「大我……」


大『お願い、北斗』


北「分かったよ大我。お前を悲しませるような事をしたくないからな」


大『ありがとう北斗。分かってくれて』



オレがほっと胸を撫で下ろすと、北斗の手が顎に触れてそれを持ち上げられ、北斗の目がすっと細められる。



吸い込まれるように、北斗の目を見つめてしまう。



大『……北斗、どうした……の……』



北斗がわざとらしく溜め息をつく。



北「大我は隙だらけだから、つけ込まれるんだよ」


大『隙だらけだったから山科先輩にキスされた訳じゃ……』



山科先輩にキスをすれば、オレの事を諦めてくれるって言うから。



そんなこと北斗には絶対に言えない。
言ったら、北斗は山科先輩に報復するだろう。



大『……まぁ、ちょっとは隙があったかもしれない……』


北「ちょっとは?」


大『もういいだろ。終わったことなんだからっ!』



顎にかかった北斗の手を振り払ったが、その手をがっと掴まれた。



北「よくない」


大『よくないって………ン、ぅん………っ』



北斗にぐいっと抱き寄せられ、唇を塞がれてしまう。



オレの戸惑いをよそに、北斗は唇の内側を舐め、歯列をなぞる。



吸い上げられるように激しく口腔こうこうを蹂躙され、ぞくりとしたものが背中を駆け上がってくる。



大『ふ………あっ………』



息苦しくなって喘ぐが、北斗の唇は逃れることを許さなかった。



吐息を吐く度にまるでそれを吸い取るかのように、執拗なキスが続く。



大『っ………んで?』



それでも北斗の唇が離れた一瞬の隙を縫って、オレは疑問を口にせずにはいられない。



北「消毒。あいつの感触を忘れさせてやる」



そう言って、北斗はもう一度キスをしてくる。



深くキスされ、甘噛され、唇が痺れるようになっていた。



北斗は舌でオレの口腔内こうこうないまさぐって、それから引き抜いた。



ちゅく、と唾液の音が漏れる。



最後に唇を吸い上げると、北斗は苦笑した。



北「まだし足りないが、邪魔が入ったから消毒はここまでだな」



廊下から賑やかな声と複数の足音が聞こえてくる。



北「あいつら何しに戻って来たんだか」



複数の足音が止まり、教室の開かれたドアから髙地が顔を覗かせた。


その髙地の後ろにはジェシーの姿もある。
 


  



   

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