第34話

初恋の君へ〜甘い時間〜⑨
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2024/02/05 14:46






大我Side









髙「あれ?二人ともまだ残っていたのか?」


北「貴方たちこそ、何しに戻って来たのよ」


髙「ジェシーのバカが課題のプリントを忘れたって言うから、取りに戻って来たんだよ」



そう言いながら、隣の教室を指差す髙地。



ジェ「バカとはヒドイなぁ〜こーち!」


髙「本当のことだろ」


ジェ「そのバカと付き合ってるのはどこの誰でしょうね」
 

髙「う、うっさい!ほら行くぞ、ジェシー」



慌てた様子で髙地がジェシーの腕を掴んで、隣の教室へ引き摺っていく。


その光景が何だか面白くて、北斗と共に髙地たちの後を追いかけた。


隣の教室に入れば、ジェシーが自身の机の中をガサガサと漁っている。



髙「あったか?プリント」


ジェ「う〜ん……見当たらないんだよねぇ」


髙「鞄の中にあるってことはねぇだろうな」


ジェ「それはないよ。さっき鞄の中は探したんだから」


髙「本当に鞄の中を隅々まで探したのか?これでもし、鞄の中にあったら、どうなるか分かってんだろうな」



髙地はジェシーから鞄を奪い取ると、鞄をひっくり返した。


バサバサと音を立てて、教科書やノート類が机の上に散らばる。


散らばった教科書を拾いあげ、一冊ずつパラパラと捲って調べていくと。



髙「ジェシー、これ課題のプリントじゃねぇの?」



教科書の間から、ジェシーが探していたプリントが出てきた。


ジェシーは苦笑しながら、髙地からおずおずとプリントを受け取り鞄へとしまった。



ジェ「……ごめん、こーち」


髙「別にいいよ。プリントも見つかったし帰るか。大我、北斗途中まで一緒に帰ろうぜ」


大『……あ、あのさ』



先ほどから気になっていたことを聞こうと、オレは恐る恐る口を開く。


大『正直なところを聞いていい?』


髙「なんだよ」


大『もしかして、2人って付き合ってるの?』


オレのその言葉に、髙地とジェシーが互いの顔を見合わせたかと思えば、ジェシーが髙地の肩をぐいっと抱き寄せた。


ジェ「付き合ってるよ♡」


大『何年くらい付き合ってるの?』


ジェ「そうだなぁ……」



う〜ん……と考え込むジェシーに代わって、髙地が答える。



髙「三年くらいじゃなかったか?」


大『そうなんだ……』


髙「そう言うお前らだって、付き合ってんだろ?」



髙地のその言葉に、オレの頬がみるみる赤く染まっていく。


オレのその様子に、髙地がくすっと笑った。



髙「顔を真っ赤にしちゃって、可愛いな大我は」


大『なっ////』


北「髙地、あまり大我を苛めてくれるな」


クスクス笑いながら口を出す北斗に、オレは泣きつく振りをする。


大『北斗〜』


北「大我を苛めていいのは俺だけなんだから」


大『北斗……ひどい……』



情けなさそうなオレに、思わず、と言う感じで髙地とジェシーが吹き出した。


オレは髙地とジェシーをじろりと睨みつける。



大『もう!皆してオレをからかって楽しんで!もう知らない!』



ふんと鼻を鳴らすとオレは三人を置いて教室から出て行く。


すっかり機嫌を悪くしたオレの後を、三人が慌てて追いかけてくる。



北「大我、待って」


髙「俺達が悪かった」


ジェ「謝るから機嫌を直してよ〜大我〜」


大(そう簡単には許さないんだから……)



必死に謝ってくる三人を尻目に、オレはクスクス笑いながら、昇降口に向かったのだった。




  


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