ガチャリとドアを開けると、飛び付いてくる春。
今日は薬を使っているのだろう。
気分が高い。
けど、ごめん。春。
私、春の事好きじゃないんだわ。
抱きついてきた春を突き飛ばして走って自分の部屋に閉じ籠った。
ガンガンとドアを叩くような蹴るような音が私の頭に響いた。
シンっと静まった室内。
何で、気付かないの?どうして分かってくれないの?
思いがつのってつのって、自分でもこんなに大きな声が出るのかってぐらい大きな声が出た。
ショックで止まらないのか、怒りで止まらないのかわからなかったけど涙が止まらなかった。
ここに来てまで、まだ言い訳しようとする春にすごく腹が立った。
本当はこんなこと言いたくなかった。
けど、ショックだった。春にその程度の人間としてか見られてなかったことが。
………あれッ?私って春の事家族って思ってたのに、何でこんなに胸が張り裂けそうなの?
何でッ?
ドアを開けたけど、リビングでテレビを見て笑っているいる声がした。
自分からあんなこと言ったのに今になって後悔するってみっともないって思った。
けど、春が自分から離れていくんじゃないかって不安で仕方なかった。
春に酷いことをしたって今になって思った。
携帯を出して、蘭さんに電話をかけようとしたが、竜胆さんとは家が別だとしても奥さんがいるからかけれないし、明石さんは妹さんがいるから電話がかけずらかった。
………鶴蝶さんは、どうかな?
4コール、5コール、6ロール、プツッと音がして落ち着いた鶴蝶さんの声がした。
こんなに、春の近くにいたいのにまた何かされたらって思ってしまう。
携帯、相棒(M1911)
財布、ナイフ、服、
その他諸々をキャリーバッグに積めて私は深夜の街に飛び出した。
♡よろしくお願いします!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。