謙杜『しー』
あなた『…』
ずっと足音がする。
だんだん近づいてくるし。
私はもっと長尾謙杜の方に寄った。
謙杜『…』
あなた『…?』
すると長尾謙杜と目が合う。
彼は直ぐに逸らした。
するとだんだん足音が聞こえなくなった。
あなた『はぁ、良かった』
謙杜『…あぁ、そう、やな』
あなた『大丈夫?』
謙杜『だ、大丈夫』
何故か長尾謙杜はフラフラしている。
謙杜『…落ち着け俺、恭平の彼女やぞっ』
あなた『ん?』
謙杜『なんもない!』
急に大きな声を出すから
私は焦って長尾謙杜の口を手で押えた。
あなた『…ほんと馬鹿』
謙杜『ご、ごめん』(きゅんです)
あなた『…早くここから出よ』
私が歩き始めると長尾謙杜はぼーっとしている。
私は控えめに声を出した。
あなた『早く!いつまで突っ立ってんの!』
謙杜『…あ、うん』
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。