あなたside
優しい声で語りかけてくる。
その時プツッと何かが切れたみたいに私は泣き崩れた
私がどんなに泣きわめいてもママさんは「大丈夫」とだけ言ってくれた。
約10分後
泣きながらも引っ越しの準備を終わらせようと立つ。
確かに。ともさんとの時間が減っていくのと反比例に配信と撮影の量は増えていた。
グッズの告知もあって色々担当者さんと打ち合わせもあったりして結構タイトなスケジュールだった。
ともさんのことを考えなくていいように自分でタイトなスケジュールにしていた。と言うほうがいいだろう。
ともさんに釣り合うような配信者。釣り合うような女になると決めた、やっと前を向き始めたあの日から少しは変わっただろうか。
昔は「私も憧れの人になりたい。」その一心で活動してたけど由汰が亡くなってから「あなたの活動名」という存在を観られるのが怖くなって、、私を知らないでほしいと思うようになった。でも活動をやめられなかった。
昔の自分に感謝したい。なぜならあの時やめていたら今の私はない。
貴方に現実で出逢うことはなかった。
それからもつまずくこと、振り出しに戻った気分になったこともあったけど私は他の人に見てもらい応援してもらう大切さを知ることができた。
ともさんのお陰で。
愛する貴方のお陰で。
ともさんとのことが脳裏によぎる。今は何をしているだろうか。今誰といるんだろう。私の知らないともさんを誰かが知ってるのは辛い。それ以外にもたくさん考えるうちに今より涙が溢れる。
赤髪のともside
ストグラを始めてから約1週間
配信後
ふぅ…寝よ
ストグラはほんとに楽しいんだけどいかんせん遅すぎる。配信やめようと思ったら「もう寝るのー?!」とか言われちゃうし。まぁ仕方ないよね深夜勢もいるんだから
あ、明日は漫画の打ち合わせがあったな………
翌日
打ち合わせの時間
打ち合わせ中
うわ…やば、ちょっと寝てた………
元気ない。か………最近あなたの活動名と全く話してないからかな……
そのあなたの活動名が足りてないんですよ〜……ってかガチオタなの?ww
青柳先生も知ってる?!まじか
真面目にあなたの活動名が足りてないな…今日連絡しようかな
よーしあなたの活動名にLINEしよ
In LINE
れんらくれんらくー♫
『嫉妬させるのは正解!!彼女の嫉妬は可愛い。』
何故かこんな広告が出てきた。
嫉妬かぁ…
嫉妬したあなたの活動名……
ヤバ…想像しただけでニヤける
俺もやってみよっかな
よし!決めた!!あなたの活動名が連絡してくるまで連絡しない条約ここに締結!
数日後
ほぼ毎日ストグラをしてて楽しいんだけどやっぱり寂しい。あなたの活動名と話したい
でも決めたから曲げない!
出勤出勤!
ぺんちゃ……いや。伊藤ぺいんが一言そう言ってきた。
はぁ?!何を言ってるんだ
まじでコイツラ許さん
配信後
ぴくとさんはあなたの活動名と色々あったからちゃんとあなたの活動名は俺のものなんだって定期的に言っておかないと何をするかわからない!
In DM
よし。まぁこんな文章だけだったら全然嘘付けるけどぴくとさんもあなたの活動名も信じたい。
wwwあ、そういえばキャンプ部予定立てなきゃ
色々調べた後
来月のはじめの方からとかかなー
他の人にも連絡しないと!
まってあなたの活動名にも連絡しないとじゃん。やばい俺の条約を……
全員の確認取れてからあなたの活動名に連絡しよ
数日後
電車に乗りいつも通り東京に向かう。
今日は早めに用事が終わるからお買い物しようかなー!
用事済ませた後
よし買い物行くか
タクシーに乗り込む
ブブッ
LINE〜♪
ブブッ
何だ何だっ?!
様々なSNSから通知が来ていた。しかもどれもぴくとさんから。
In Discord
は、あなたの活動名?やっぱり2人は……
そこにはどこかの住所が書かれていた。
は?なんで?何があったの?
っ……
文だけだけどぴくとさんの文からは本当にあなたの活動名になにか起きてしまったことが伝わってきた。
俺が最初思っていたのとはおそらく違う何かが起きているのだろう。
もしかして、俺が全然連絡取ってなかったせい?
………俺は何してんだ。
広告に左右されて…大切で大好きなあなたの活動名を自分の手で苦しめた…
馬鹿だ。
自分のした行動のすべてが嫌になる。本当にどうしてあんなことしてしまったんだろう。
ただ、あなたの活動名の嫉妬した顔が見たかっただけなのに。俺こんなんで幸せにできんのかな……
歯を食いしばり過去の自分を呪った。
ここは……
In Discord
何だこのマンションは…ぴくとさんの家かな
しばらくするとぴくとさんが扉から出て来た。
ぴくとさんから聴くことのあまりない強い声で言われた。
よっぽど重大な状況ってこと?
誰かの部屋の前についた。
ピンポーン
ガチャ
扉から現れたのは葛城さんだった。
そう言って俺は腕を引かれ部屋の中に入らされた。
あなたside
「寝な」とママさんに言われたものの、ともさんのことが頭から離れなくて寝れない
寝なきゃって思うほど不安が襲う。
布団に無理やり体を寄せる。
コンコンコン
そこにはともさんとママさんが立っていた
ギュッ
「なんでともさんがここにいるんだろう」なんて疑問は浮かばなかった。それよりも今、ここでともさんに抱き寄せられたという事実に涙が溢れる。
強く強く抱きしめられる
私がともさんから離れ、涙を拭き、ともさんを見ると急に土下座をぶちかましてきた。
そういえばさっきから謝られているけど何について謝られてるのかわからない。
ともさんが私に連絡してくれなかったのは私を嫌いになったとかでもストグラの女子たちに浮気してるとかでもないってこと?
その時、重い何がが外れたような感じがした。
それからともさんは何で私に連絡していなかったを教えてくれた。
コンコンコン
空間に2人きりになるのが久しぶりすぎてそれだけで笑みが零れそうになる。
引っ越しにぴくとさん呼んだとか絶対言えないわ。
思ったそばからそういうの聞いてくる…
え?あ?え、マ?、は?どゆこ─は?今言う?まじ?
「必要な過程」か……とりま嬉しいか?
ともさんと今みたいに毎日会って生活を共にするビジョンがなぜかわからないけど、簡単に飲み込めた。そして私はそこにいるべきだとも思えた。
ならば私の答えは1つ。
その後しばらくしてともさんは帰っていった。
ママさんに事情を説明して了承してくれた。
「あんた達思ったよりバカだね」って笑われてしまったけど
来月の頭に退去することが決まり、ともさんのマンションは2人可能だから、新しい家は探さずに私がそこに行くことになった。
そんな声がキッチンから聞こえた。
暇だしなんか動かないとソワソワしちゃうから部屋まで行こっかな
ピンポーン
ガチャ
ぴくとさんはまるで自分のことのように肩をなで下ろした。
思ってもいない言葉を言われる。
自分の部屋に戻りながらさっき言われたことを考える。
「誰かの幸せを願うこと。それが自分の幸せだ。」
そう言えること素直に尊敬した。
LINE〜♪
In LINE
まじか。え?まじじゃん。
ギクッ…
こうして私は数カ月ぶりの一人暮らしが始まった。
そして、きっと最後の一人暮らしになる。そう信じたい。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。