第12話

『 拒絶 』
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2025/12/24 09:09 更新
あの日、晃牙から投げつけられた言葉は、あなたの下の名前の胸に消えない棘として刺さっていた



窓の外、夜明けの群青色が少しずつ空を侵食していく

あなたの下の名前は資料室のデスクで、一通の書類を見つめていた

それは、担当交代の申し出だった



(なまえ)
あなた
⋯これが、私にできる唯一のこと





彼を愛しているからこそ、彼が『魔王』として君臨し続けるステージを汚したくない


(なまえ)
あなた
(自分が側にいれば、零さんは優しすぎるゆえに、いつか足を踏み外してしまう)
その夜、最後の仕事のつもりで向かったレッスン室

零はいつものように鏡の前で舞っていたが

あなたの下の名前の気配を感じると、すぐに動きを止めて振り返った



朔間 零
朔間 零
遅かったのう、あなたの下の名前。
⋯お主、今日は酷く青色が悪いぞ



心配そうに歩み寄る零

その手があなたの下の名前に触れようとする


あなたの下の名前は、生まれて始めてその手を――――


















零の温もりを、自ら拒むように一歩後ろへ下がった





朔間 零
朔間 零
⋯⋯あなたの下の名前?

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