これは俺の道具。
前にぶん投げられて、あと少しで学園の外に出そうになっ
て、慌てて白杖代に取りに行かせた思い出の一品である。
何より…
何故かエロいの一言でもっけたちが帰って行ってしまっ
た。
いいモノなのに…
そこで、はたと気づく。
『ぶん投げられた』のは、誰にだったか。
『前のように』とはいつの話なのか。
何気なく語っていたけど、よく考えるとおかしい。
だって、俺には七不思議七番としてここに就任してから一度も、今考えていたような懐かしくて楽しい時間はなかった。
もうどこにも行かない、その為に、自分から蚊帳の外に出てきた俺には…
だったら誰に?
つかさとはもう半世紀近く会ってない。
五番とそんな会話をしたことはない、
二番はそんなノリじゃない、
それ以外の七不思議はかまってこない。
だったら、俺は誰と……
不意に手が何かに触れた。
袋……人魚のウロコ?
でもこれは使いきったような気、が…
ひとつ思い出すと、つられてどんどん思い出す。
そうだ、彼女が尋ねてきたのは確か△月の□日…昨日だった。
あれ?
昨日来るはずだった、彼女は?













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。