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第6話

メッシャーズ逃避行
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2023/09/25 13:00 更新
違う景色が見たかった。

初めて屋上から見た景色は。

見たことない世界を見れて。いつも見ている景色を上から見ているに過ぎない。けれど何故か。



もっと知らない景色を見たいと思ってしまったんだ。



8月。まだ蝉がうるさい

暑さに負けて身体は火照っていた。


寝苦しくなり比較的涼しい早朝に目が覚めた


まだ太陽が登るほんの少し前は

とても綺麗だった。

俺は体の思うまま歩き続けいつもの道路まで来ていた。

「綺麗。」

思わず口に出るほどだった。

霧がかかっていて少し肌寒いまであったがきっとそれは汗が冷えただけだろう。

夏期講習。もっと自由な時間を楽しみたい。

けれど行かない訳にも行かずクラスメイトにも顔を合わせなくてはならない。

憂鬱だな。

ぼそっと呟き信号が空の色になるのを待っていた。

「まぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

と後ろから聞いたことのある叫び声がし、ふと後ろを振り返る。

「まぁぁぁぁゆぅぅぅぅぅぅ!!!!!」

それはクラスメイトの三枝明那と不破湊だった。

夏休み中俺ら3人はみんな髪に色を入れつい昨日バレるかバレないかみたいなことを話していたばかりだった。

「そういや明那はメッシュなんだね。」

「俺メッシュも入っとる!」

「ふわっちどっちも入ってるし色強!笑」

「俺はバレない。だって」
といい横の髪で隠す。

「それにこの色ならバレにくいし。」

「まゆ〜それはずるいわ」

「ズルとかじゃなくて2人ともそれなんでそこまで考えてこなかったのさ。」

「だって、なぁ?」

多分夏期講習のことを忘れていた。

今日もLINEで明日学校だねと言ったところで気づいていた。

まぁ、バレたらバレたらで。それもひとつの新しい体験だ。

「せめて2人とも黒髪スプレーとかで染めてきなよ」

「まゆその手あったわ。」

「まさかその考えなかったの?」

「うん」

即決で答える2人に呆れを覚えた。
まぁ俺も俺で染めてるんだけどね。



結局二人は怒られ俺はバレずにすんだ。

その日で夏期講習もおわりお盆の期間に入った。


LINEにて
まだ暑い。と毎日毎日送りあっている

夏はまだ続く。終わっても残暑が付きまとう。


「まだまだ長いなぁ。」
と少し気を重くしながら先のことを考える。

どう頑張っても苦しい終わりにしたいという気持ちが暑さと共にまとわりつくだけだった。


解放……。されたいのかな。

なにかに囚われているともなにかに支配されていとも感じたことは無い。けれど自分をなにかに支配されてその中で自由に生きてきたのかもしれない。

あの日屋上から見た景色を忘れない。
あの時得た感情はきっと自由を感じら
れた感情だったんだと、改めて実感した。


そうだ見たことないところに行こう。

ふと頭をよぎった。けれどそれを否定するだけのことも無く行くことに決めた。


最低限のものだけ持ち。連絡を入れる


[新しい景色を見に行ってくる。]

そう。きっとあの二人は意味なんて分からないだろう。そう思っていたが

[まゆ。家出するんやろ。]

[別に家が嫌なわけじゃないけどね]

[なんて言ったらええのかな。とりあえずまゆはいなくなるんやろ]

わかったんだ。意味が。
少し舐めすぎていたのかもしれない。
いつもふわふわと天然な彼も今はなんだかかっこよく目に映った。

[うん、そうだよ。知らない景色を見に知らないところに行く。]

[いつ帰ってくるん?]

[満足したらかな]

[俺も]

[俺も?]

[俺も行く。置いて行かんで。まゆとならどこへでも行く]

[そっか。本当にいいの?]

[うん。まゆが良いといってくれるのなら]

[良いよ。一緒に逝こう]

[え?]

[ごめん変なところで誤字った。行こう
一緒にね]

[びっくりしたわ。]

早速俺たちは最小限の荷物を持ち宛もなく列車に乗り込んだ。

田舎なため列車は1時間に2本しかない。

乗り遅れたら数十分後なんて大変だ。

「乗れた……。」

「これからどこに行くんか決めてないんよな?」

「そうだね。満足する、までかな。」

「そっか。俺はいつまでもどこまでもついて行くで。」

「心強いね。」



トンネルを抜けた先に見えた窓から見える景色に俺は自然と虜になっていた。


海が先まで続いている。ずっとずっと

途切れることなくどこかの町の誰かの元へ


窓から差し込む光は眩しくて。

思わず手で遮ったりして。

本当に良かったのかな。
今思ってももう遅い

進むしかないんだ。


夕方。日も暮れて列車内には俺と不破くんだけ。

不破くんはなんだか眠たそうにコクっと頭を下ろしながら。眠気と戦っていた

「寝ていいよ。」

「んぇ?悪いな。」

「大丈夫だよ起こすから。」

「わかった。」

そう数十分ぶりの会話をした。
ふとスマホに目を落とすと何個も連絡が来ていた。

正直親とかそういうのはだるいなと思いながら開いた。

数十件は全て明那からのもので、心配のLINEだった。

その数十件のメッセージに一言。

[不破くんとふたりで少し遠くへ行きます。出来れば探さないで欲しい。]

と。少し冷たかったかなとも思うがこれぐらい言っておいた方が彼なら着いてくると思ったから。

そこからはもうスマホは開いていない。



明那side

あれから何度連絡を入れても既読が着くことは無かった。

「心配になるじゃん……。」
と心配と不安を募せ2人には悪いが体が真っ先に動いていた。


探しに行こう。

明日からは新学期。けれどそんなこと知ったこっちゃない。

だって身の危険だってあるのかもしれないのだから。


[母さんへ
帰りが遅くなると思うけど心配しないで
ちゃんと帰ってくるから。いつ帰るかは
わからない]

と置き手紙残し。

俺は一直線に列車に乗り込み手当り次第回った。

何日も何日も。

くしゃくしゃになった切符を握りしめながら海へ。海へ向かう。


初めて来たところなのに何故か。


来たことのあるような。


前に来た時は誰かを忘れないようにするために来た。


来たことは無い。それは確かだった。


なんでそんな記憶があるのかも分からないが何故か導かれているかのような。


砂浜には2人分の靴が投げ捨てられていた。


不安感が積もりに積もり海へ走った。

「まゆ!!!!!!!」

そう海に叫んだ時なにかが脳裏に焼き付いた。


あれは8月やったな。ふわっちと二人で海に来た。

そうだラジオ体操の帰りだった。

そしてまゆが居なくなった。


全て思い出した。


まゆ。まゆ。ふわっち。ねぇふわっち。

そう叫ぶ声は弱く細々としていた。


「明那?」

そう呼ばれた。

遠くに見えるシルエットは誰かわからなかったけれど俺はあれが二人であるというのが瞬時にわかった。

砂浜で足を痛めて転びそうになりながら2人の方へ駆け寄っていく。

走るのに夢中でしたばかり見つめていた俺が上に目線をやった時

2人はそこにいなかった。


「なんでだよ……。。。」


2人の靴を持ち落ちていた2人のスマホも見つけ。


中にはありがとう。と。

決めつけちゃいけないとわかっているけど。


そうだ近くに温泉がある。入って帰ろう。


あんな出来事の後、俺は何故か現実を受け入れられなくなっていた。


その後終電で最寄りの駅に帰ってきた。

着いた途端俺は泣き崩れた。


なんで。なんで。いなくなるなら俺も連れてってよ。なんで俺だけ置いていくんだよ。

口からこぼれ落ちるの言葉を受け入れられなかった。


「そんな悲しい顔せんで?」

「俺も明那の悲しい顔みたくない。」

幻聴だ。もう居ないんだ2人は。

「なぁ聞こえてないん?明那。」

「もしかして俺たちのこと忘れた?」

「……え?」

目の前にたっていたのは紛れもなく2人だった。

なんで?なんでいるの?

「なんだって。見たい景色が見れたからだよ。」

「……バカ。」

一番最初に出た言葉はそれだった。

どれだけ心配させたら気が済むんだ。と


黛不破side

あの後都会に行ってビル街やオシャレな街。大体が混みあっていて苦しかったけれどいい景色が見れた。知らない自分をしれた。そんな気がした

「そうだまゆ。最後に海に行こう」

ここまで来た通り道にある海に行こうという提案に俺は乗っかった。

「そうだね。」

靴を脱いで全力で遊んだ。


その後メモを残したがあれはずーっと前に書いたまゆのメモであり、あの場で書いたものでは無かった。そしてスマホを忘れてきてしまい焦っていたがまぁ思い出か。と何故か片付けられた

「良かった。明那持ってきてくれたんだ。」

くつとスマホをまゆとふわっちに渡す。

「もう俺無しで居なくならないでよ。次は、俺もだから。」

「うん。約束。」

3人のインナーとメッシュは淡く色褪せていた。

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