第24話

第22話
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2024/07/29 11:00 更新
まどか
(新しい世界だ)
と思う

特攻資料館の外にあるベンチに座り、涙が枯れるまで泣いた僕は、先生が買ってきてくれたミネラルウォーターをひと口飲み空を見上げた時
まどか
(ここは新しい世界なんだ)
と思った

青く澄んだ綺麗な空

ゆっくりゆっくり流れる白い雲

ふわりと優しく肌を撫でるそよ風

その風に吹かれて揺らぐ緑
まどか
(ここがみんなの守ろうとした世界)
まどか
(この世界こそが、命を犠牲にしてまで
叶えようとした平和)

青い空の真ん中を、飛行機が飛んでいくのが見える

白い飛行機雲か青い空にぽっくりとと浮かび上がる

僕は空を仰いだまま目をつぶる


あの時代はこんな風に空を見ることすら出来ない


空を切り裂くように横切る爆撃機にみんな怯えていた
まどか
(でも今は違う)
まどか
(今は誰ひとり飛行機の影に
怯えたりしない)

そんなことを思いながら僕はバスに乗り込む


バスを降り、解散してから後者のトイレに向かう


予想通りまだ目が赤くなっている
大地
『まどかくん、これで目冷やしな?』

天命さんが冷たいタオルを貸してくれたから
バスの中でも冷やしてたけど、あれだけ泣いたから
学校に着いてもまだ腫れていた




僕は帰ろうとして校門を出る

数歩歩いたところで僕はふと足を止めた


見慣れない制服の人がグラウンドを
覗き込んでいたから
まどか
.......あ、っ
僕は思わず立ち止まる

その顔を見た瞬間.......僕には分かってしまった










この男の子は.......









まどか
.......誠一、
彼は首を傾げて不思議そうに僕を見ていたけど
しばらくしてから、にこっと笑った



その笑顔はやっぱり誠一の笑顔と同じ


明るくて眩しい笑顔


その男の子が僕に近づいてきて口を開く
???
ここの中学の子か?
僕はぽかんとしながら
まどか
コクリ
と頷く
???
そうか〜、何年生なんや?
まどか
に.......2年生
何とか答えると彼はニコッと眩しく笑う
???
じゃあ同じ学年やな
???
俺、来週からこの学校に来んねん
???
よろしくな!

彼は手を差し伸べてくる
まどか
う、うん

反射的に右手をあげると彼はしっかり僕の手を捉える
まどか
(この手を僕は知ってる)
骨ばっているけど、包み込んでくれる大きな手
まどか
(......誠一、)
僕は心の中で名前を呼ぶ
まどか
よろしくねニコ

そう一言だけ言って僕は彼の目を見つめる

まっすぐでひとつの濁りもない綺麗な瞳



まどか
(新しい世界、か)
まどか
(僕はこの世界で生きていくんだ)

たくさんの人の犠牲、苦しみ悲しみの上に
築かれてきたこの世界で僕たちは生きていく


この世界、平和のために犠牲になった

数え切れない人の命と気持ちを全身で感じながら
まどか
(あの日空に散っていったみんな)
まどか
(僕の声は聞こえますか)
まどか
(僕、僕たちはあなた達が命をかけて
守った世界で生きています)
まどか
(あなた達が願った平和な世界を
生きています)
まどか
(今でもくだらないことをする人はいる
けどそれでも平和過ごせるこの世界を
残してくれてありがとう)
まどか
(あなた達のこと犠牲は絶対に忘れない)
まどか
(僕はこの世界を精一杯生きます)
まどか
(どうか、安らかに眠ってください)




ーーねぇ、誠一

ちゃんと僕のこと見てる?

今はどこにいるの?

しんどくない?辛くない?

幸せに過ごせてる?

僕は誠一のせいで雨が嫌いになっちゃったよ


あの日僕に見せてくれた花びらのように、綺麗に飛んで行った誠一


せめて今は、大好きなお花畑で、安らかに眠っていることを祈りますーーーーーーー

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