第17話

第15話
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2024/07/22 11:00 更新
結人
じゃあ、行ってきますね
まどか
うん、
結人くんと健三はお見送りに行く
健三
.......行ってきますニコ
食堂の中
まどか
(誠一に迷惑はかけれない)
まどか
(僕のせいで困らせたくない)

今日はあいにく土砂降りだ

風も吹いている

その風の勢いで食卓に置かれていた紙が落ちた
まどか
あ、
落ちた紙を拾い上げる

その紙には「どうか投函とうかんしてください」という
健三宛の達筆な字が書かれていた
まどか
(郵便局にでも持っていくのかな)
今度は食卓の上にある紙に目を移す

特攻隊員のみんなが家族あてに書いた手紙だった

もちろん誠一のもあった、誠一のは
まどか
(お母さん、お父さん、妹、弟宛)
まどか
(あれ?)
まどか
(もう一通?ほかに家族いたっけ、)

最後の一通は.......







まどか
え.......っ、
まどか
うそ.......

その封筒の表には「恵美へ」と書いてあった



どくん。と心臓がはねた
耳の奥でどくどくどく、と聞こえるほどに


僕は無意識に誠一、と言っていた
誠一、誠一
声にならない声で呼び続ける

最後の最後まで僕に優しいひどい人



僕は気がつくと走り出していた

土砂降りなのに、傘も持たず
まどか
ハァ、ハァっ
今までの人生で、こんな速く走ったことはない

空襲の時だって今より遅かった

普段運動をしていない僕は足が棒になって爪先がもつれて、何度も転んで怪我しても


その足を止めることはなかった
まどか
ハァハァ(お願い、間に合ってっ)
まどか
ハァハァ
飛行場にたどり着いた

すると、左手さんの飛行機が目の前を通った
まどか
(あ、左手さん.......)
それから次々に、飛行機が目の前を通って行った



ーー瑠衣さん
ーー右手さん
ーー雷夏さん


最後の飛行機は.......
まどか
誠一、誠一っ!
届くかは分からない、けど必死に叫んだ
まどか
誠一っ!誠一!
エンジン音や雨の音、周りの歓声で、
僕の声がかき消される

それでも僕は必死に叫んだ
両手いっぱい振って



それに気づいたのかは分からないけど
誠一
!!
驚いたように目を瞑ってから、
いつもの笑顔に戻った

そして操縦機を握っていた右手みぎてを外し
胸元から何か掴んで僕に投げた

わけも分からず、僕はそれを必死に掴んだ
まどか
これって.......
まどか
誠一のバカっ、
僕が掴んだものは

ーーー美しく花開いた百合だった
甘い香りがふわりと鼻腔びこうにつく

涙が溢れる

誠一は最後に手を振り、眩しい笑顔のままで
通り過ぎて行った






ーーーその後、僕の身体はぐらりと傾いて
   地面に倒れ込んだ

そこでそのまま、意識がとだえた

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