第26話

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2025/11/06 04:11 更新



 ガタ、ガタ……と

 等間隔で揺れる馬車に、
 すぐに体が慣れてしまったせいだろうか?
 


 その振動が止まった瞬間、
 何も無い状態に違和感を覚えてしまって

 眠りの狭間を揺蕩っていた俺の意識が覚醒する。








 さあっと開けていく、光に慣れない視界は
 すでに白尾国の豪勢な裏門を映していた





⠀ ⠀ ⠀
 ……っあ、寝ちゃってた…! 






⠀ ⠀ ⠀
 すみません、ありがとうございます! 






 そう言って、馬車で送迎を纏めてしてくださった
 白尾国の方に慌ただしく頭を下げると



 大丈夫ですよ、これが仕事ですので
 と優しく微笑んでくれる。




 ホント、この執事さんには
 毎度お世話になってしまっているよ…









⠀ ⠀ ⠀
 あっ、ペイントさん!! 








 裏門からかなり近い裏庭に足を踏み入れれば、

 
 丁寧に手入れされた花畑の中央にある
 白を基調とした円状のガゼボの中

 
 紅茶のカップ片手に座っているナカムくんがいた。







 綺麗な横顔は、すぐに満面の笑みに変わり

 屋根のせいで影が落ちても尚
 それを感じさせないほど輝いている





⠀ ⠀ ⠀
 誘ってくれてありがとう! 


⠀ ⠀ ⠀
 僕もペイントさんと 
 話したかったので… 




 満更でもなさそうに、ニコニコと笑っている

 口元だけですら笑顔が伝わりきる表情は、
 少しあなたの名前、カタカナ推奨を彷彿とさせた。




⠀ ⠀ ⠀
 じゃ、中入りましょっか! 
 いいお菓子を用意したんですよ〜! 

⠀ ⠀ ⠀
 あ、俺も持ってきたから 
 一緒に食べよ食べよ!

⠀ ⠀ ⠀
 いいんですか?!
 嬉しいなあ〜!! 





 ナカムくんは人一倍甘いものが好きなので、
 会う時はいつもお茶菓子交換会をしている。


 今日はうちの城下町で大人気の
 いちばん高級なマカロンを持ってきたから
 喜んでくれるといいなぁ…




 
 ……なんて、ちょっとワクワクしながら考えた。























⠀ ⠀ ⠀
 え、え〜〜〜〜……!!! 
 スゴいですねこれ!!!! 


⠀ ⠀ ⠀
 気に入ってくれて嬉しいよ、 
 今日のために特注で作って 
 もらったんだ! 






 持ってきたマカロンを見るなり、
 見た事もないほど目を輝かせて

 まるでサンタからのプレゼントを開けた瞬間の
 小さな子供のように喜んでいる。




 
 前から頼んでおいた、最高級のマカロン!
 と言うだけあって

 味はもちろんのこと、見た目の美しさも申し分なく


 



 後付けで足したのかと思うほど綺麗に出ている
 美しいピエや、
 割れる気配もない頑丈な 水色のマカロンコック。

 


 そこにナカムくんのお気に入りの
 パンダの絵が描かれており、

 チョコレートで描かれたとは思えないほど
 精巧で美しいものだった





 その可愛らしいマカロンが夢のように
 沢山あるのだから、誰だって喜ぶだろう

 このお店のマカロンは本当に美味しいから
 喜んでもらえたのが自分事のように嬉しくなる。








⠀ ⠀ ⠀
 じゃ、じゃあ僕からも… 

⠀ ⠀ ⠀
 あのテーブルの上のクローシュ、
 よかったら開けてみてください! 


⠀ ⠀ ⠀
 クローシュ……? 
 …あっ、あれか! 





 かなり広い部屋の、中央の少し奥の方。



 ホワイトのテーブルクロスがかけられた
 高級感のあるバンケットテーブルの上


 ティーセットと共にクローシュ銀製のフタが置かれている。






⠀ ⠀ ⠀
 どれ、どれ…… 
 って、わ〜!!美味しそう!! 





 蓋を開けば、またたく間に舞い込んでくる
 爽やかで甘いオレンジの香り



 見るからに美味しそうなクレープ生地は
 オレンジの華やかな香りとともに
 自分の中の食欲を抑えさせまいと誘い込んでくる。





⠀ ⠀ ⠀
 最近うちのシェフが作り出した 
 新しいスイーツなんです!

⠀ ⠀ ⠀
 すごいね…なんて名前なの? 



⠀ ⠀ ⠀
 んーと…確か クレープ・シュゼット 
 だったかな、シェフの奥さんの 
 名前がシュゼットさんだから〜って 
 聞きました!
⠀ ⠀ ⠀
 それ素敵だね…!! 





 
 最高のレシピに大切な人の名前を入れるなんて
 ロマンチックで素敵だな…と、うっとりしてしまう。


 俺もあなたの名前、カタカナ推奨って名前を入れた料理、 
 作ってみたり…?





 …と煩悩を浮かべたところで
 この話題はやめた



 さすがにシスコンが分かりやすすぎるし、
 そもそもあなたの名前、カタカナ推奨は正体隠さないとだし。






⠀ ⠀ ⠀
 じゃ、ゆっくり話しましょっか! 
⠀ ⠀ ⠀
 そうだね、ありがと! 





 ナカムくんと話すのは楽しいし、
 今日は素敵な一日になりそうだ。






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